Carbon neutral advocated by Toyota Part2カーボンニュートラルへ
トヨタが示したこの1年の本気
Text:Daisuke Katsumura
Phpto:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

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カーボンニュートラルへ向けた世界各国の取り組みにスポットが当てられてている昨今、2021年はトヨタのカーボンニュートラルに向けた取り組みが数多く発表されました。この1年間で見えてきた、カーボンニュートラル社会に向けたトヨタの本気を見ていきましょう。

トヨタが2021年に発表したフィロソフィー

2021年5月、「カーボンニュートラル。それは、この地球上に生きるすべての人たちが、幸せに暮らし続ける世界を実現することだと思います。そのために、私たちは、できる限り多く、できる限りすぐに、CO2を減らさなければなりません」豊田章男社長のスピーチでスタートしたバッテリーEV戦略に関する説明会は、世界中の注目を集めました。

昨今カーボンニュートラルという言葉をよく耳にすると思いますが、自動車製造業としてのカーボンニュートラルは、単に電気自動車の製造を推進するだけでは達成できません。製造のみならず、輸送や走行、充電、そして廃棄やリサイクルまで、そのライフサイクルすべてのプロセスでCO2排出を実質ゼロにするという途方もない課題です。トヨタはそんな大きな課題にチャレンジしているのです。

1997年に発売された初代プリウス

「トヨタは、1997年に世界初の量産ハイブリッドカー『プリウス』を世に送り出しましたが、実は、その前からバッテリーEVの開発は始まっておりました。1992年にEV開発部を設置し、1996年にRAV4 EVを市場に投入。バッテリーEVの可能性を追求してまいりました」

章男社長の言葉が示す通り、30年の月日を経てトヨタは着実にバッテリー技術や電子制御技術を蓄積し続けるとともに、TOYOTA、LEXUSのブランドで、ハイブリッド(HEV)のみならず、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、そして燃料電池自動車(FCEV)を次々に世に送り出してきました。

レースで見出された水素エンジンの可能性

水素エンジン車両「富士SUPER TEC 24時間レース」走行の模様

その一方で別角度からのアプローチも行なってきました。カローラスポーツをベースとした競技車両に水素エンジンを搭載しスーパー耐久シリーズに出場。章男社長も自らステアリングを握り、レースという過酷なフィールドで技術を磨いてきました。MIRAIに代表されるFCEVは水素を使って電気を発生させ、モーターを駆動するのに対して、水素エンジン車は直接従来の内燃機エンジンで水素を燃料として動かすため、まったく方式が異なります。

水素エンジンの研究は、電気自動車にシフトしている世の中に逆行するかのような取り組みですが、そうではありません。この研究が加速することで、従来の技術を捨て電気自動車のみにシフトするのではなく、これまで蓄積してきた日本が誇る内燃機加工技術も水素エンジンという形で活用することができるのです。

「トヨタは、世界中のお客様に、できるだけ多くの選択肢を準備したいと思っております。EV化はもちろんのこと、その中には水素エンジンの可能性も本気で模索し続けています」という章男社長のスピーチの通り、FCEVだけでなく水素エンジン車の普及も加速することで、水素への需要が増え、水素の輸送コストダウンや水素ステーションなどのインフラ拡充にもつながります。合わせてトヨタは各社と協業することで、水素を「つくる」、「はこぶ」、「つかう」にトータルで関わることで、水素の可能性を広げているのです。

小型車から商用車まで
フルラインナップに見るトヨタの本気

bZ Large SUV

「2030年までに30車種のバッテリーEVを展開し、グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインでバッテリーEVをそろえてまいります」という目標の発表とともに、早速トヨタブランドで13台、レクサスブランドで4台の、実に合計17台のBEVがお披露目されました。

そんな中から気になったEVをいくつかピックアップしてみましょう。「家族と豊かな時間を楽しめる3列シートも可能なラージクラスのSUV」として紹介されたbZ Large SUVは、bZ4Xと比べてもかなり大きく、車内には3列目のシートが見えます。おそらく北米市場などに向けた大型SUVであることが想像できますね。

Mid Box

続けてこちらはMID BOXと紹介されたワンボックスタイプの車両です。他の車両と比較するに、MIDとはいえ、ハイエースなどと同程度のサイズであることが想像できます。荷室の広さや積載量が重要となる商用車もすでにEV開発が進んでいるということですね。近い将来訪れるカーボンニュートラル社会でワークホースとして活躍することに期待しましょう。

e-Palette

最後に紹介するのは東京オリンピックでは選手村の中で活躍したためご存知の方も多いであろうe-Paletteです。コロナ禍で開催されたオリンピックで自動運転技術によって非接触移動を実現したe-Paletteは世界中の注目を集めました。まだまだバスとしては小型な車両ですが、すでに自動運転で走行しており、現実味は最も高い一台でもあるのです。

トヨタが進めているWoven Cityでも実際に投入され、実証実験を重ねる予定となっているe-Paletteは、将来の公共交通移動を大きく変える可能性のある期待の車両でもあるのです。

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