NAPAC FUJI24H SUPER TEC Rd.22日間丸々楽しめる
スーパー耐久シリーズ観戦の楽しみ方
Text & Photo:Daisuke Katsumura

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最大で24時間という長い時間をかけてサーキットを周回し続け、こうした大会を年間7戦で争う日本のレースシリーズが、「スーパー耐久」です。今回は6月4日~5日に、富士スピードウェイで開催されたシリーズ第2戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」の模様をレポートしながら、耐久レースをより楽しく観戦するための方法もお届けします。

2日間にわたり行われる耐久レースは
土曜日の午後にスタート

2022年6月4日~5日に富士スピードウェイにて「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」が開催されました。今回のレースは、3月に開催された鈴鹿の開幕戦に続くスーパー耐久シリーズの第2戦とです。また富士で開催される第2戦は、シリーズで唯一の24時間耐久レースであるため、年に一回の大きな祭典にもなっています。

レースは6月3日金曜日の予選走行からはじまりますが、多くのギャラリーは、翌6月4日土曜日の午後3時からスタートする決勝レースまでに会場に集まるのが一般的です。レースの前には午前中にピットウォークが開催されるほか、スタート前にはグリッドに入ってマシンを間近で見たり、ドライバーと触れ合う機会が設けられるなど、さまざまな催しが行われるため土曜日も丸一日楽しむことができます。

TOYOTA GAZOO Racingからは
3台の異なるパワーユニット搭載車がエントリー

TOYOTA GAZOO Racingからは今年も3台の車両がエントリーしています。そのうちの1台が、すでにお馴染みとなった水素エンジンを搭載した#32 ORC ROOKIE Corolla H2 Conceptです。昨年もST-Qクラスに計4戦参戦し、着実に開発を進め、初戦から昨年末までに出力は24%、トルクは33%も向上。ガソリンエンジンに近い性能まで性能アップを果たしています。

今回から6月1日に日本国内仕様が発表されたばかりの新型「GR カローラ」と同じフロントフェイスになって登場。途中接触によるペナルティを受ける場面もありましたが、場外に設けられた給水素場で水素を補給しながら順調に周回を重ね、見事ST-Qクラスを6位で完走しました。

同じROOKIE Racingからもう一台ST-Qクラスにエントリーしているのが、#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptです。車両はGR86ですが、GRヤリスや水素エンジンカローラのエンジンをベースに開発した1.4リッターのターボエンジンを搭載し、カーボンニュートラル燃料(CNF)を使用してレースに挑みました。このCNFは、WRC(FIA 世界ラリー選手権)やWEC(FIA 世界耐久選手権)などでも今年から採用されている次世代合成燃料です。

水素カローラ同様ST-QクラスにエントリーしたGR86 CNF Conceptは大きなトラブルなくナイトセッションを終え、最終的にST-Qクラス4位でフィニッシュ。今回兄弟車であるSUBARU BRZも同じCNFを燃料としてST-Qクラスに参戦し、市販の2.4リッターの水平対向エンジンのままCNFを使用し見事完走を果たしました。

最後の1台はTOM’SからST-4クラスにエントリーの#86 TOM'S SPIRIT GR86です。こちらはオリジナルの水平対向4気筒エンジンを搭載した、より市販車に近い車両で24時間に挑みました。

TOM'S SPIRIT GR86は24時間終了時点での周回数652で、見事にST-4クラス1位でフィニッシュ。最後の数周は#32 Corolla H2、#28 GR86 CNFとともにランデブー走行をしてコントロールラインを通過。チームクルーや観客から大きな声援を受けていました。

耐久レースの観戦はこうやって楽しむべし

土曜日の午後3時にスタートした各車は、大きな事故を起こすことなくレースを進め、ナイトセッションへ。夜間の走行は通常のレースとは異なり、視界が狭く、ドライバーの疲労もピークに達します。このようにドライバー交代をしつつ夜通し走り続けたチームは、翌日の日曜日も走り続け、夕方のゴールを迎えます。

24時間戦い続けるのはドライバーだけではありません。当然ですが、レース観戦に訪れた観客も、この24時間を一緒に体験することになります。ここからは、2日間にわたり行われる耐久レースを楽しむための観戦方法をお届します。

レース観戦というと、グランドスタンドに座ってメインストレートを駆け抜ける車両を見るのが一般的ですが、今回のレースではグランドスタンド以外にも観戦できるコース脇の芝生エリアがあります。

芝生エリアでの観戦は、特に場所の指定もないため、テントを設置してそこを拠点に過ごしながら観戦するのがポピュラーです。今回のレースでも、アドバンコーナー内側にある観戦ポイントには、多くのテントが立ち並ぶ光景が目立ちました。またこの他にもGR SUPRAコーナー内側にはテント専用のエリアも用意されており、キャンプしながら2日間のレースを楽しむことができます。

一方、レース開催期間中は、さまざまなところでデモンストレーションの演出も観覧することができます。給水素場の隣では、現在開発中という液体水素を使用した給水素設備も展示され公開されました。今回レースに出場している水素カローラは、圧縮気体水素を使用していますが、かわりに魔法瓶のようなタンクを利用しマイナス253℃で冷却された液体水素を搭載することで、現在1回の給水素で約10周という航続距離をおおよそ倍に増やすという試みです。今回写真のタンクを搭載した次世代の液体水素カローラも初公開され、近い将来スーパー耐久にも実戦投入が計画されているそうです。近年はこういった環境に配慮した最新技術の発展もレースには欠かせない要素となっています。


第3戦となるスーパー耐久シリーズの次の開催は、7月9日~10日にスポーツランドSUGO(宮城県)で、3時間耐久として行われます。今回のように、耐久レースならではの楽しさを味わって観戦すれば、レースもこれまで以上に楽しむことができるはずです。

https://toyotagazooracing.com/jp/supertaikyu/

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