気になるトヨタ車エキスパートに聞く、アウトドアのプロと語る理想のクルマ Photo:Daisuke Katsumura
今、日本を代表する乗用車とは。背高ノッポの軽自動車? 両側スライドドアのミニバン? 高燃費のコンパクトハイブリッド? 気鋭の自動車ジャーナリストが、家族をこよなく愛するアウトドアのプロとともに“国産車のど真ん中”を考えてみました。
猪俣慎吾(写真左)
キャンプが趣味のフォトグラファー。広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心に活動しつつ、近年は趣味を活かしてキャンプコーディネーターとしても活躍中。
小沢コージ(写真右)
神奈川県横浜市出身。自動車メーカー勤務を経て、1990年に二玄社へ入社し、自動車情報誌『NAVI』の編集に携わる。1993年にフリーランスとして独立後、現在は「バラエティ自動車ジャーナリスト」という肩書も持つ。
道具を知り尽くした元マークXジオ乗りが語る
- 小沢
- 猪俣さん、本業はキャンプコーディネーターということですが具体的にはどんなお仕事ですか?
- 猪俣
- なんでもやりますよ。キャンプのセッティングから写真撮影から時には料理作りまで。仕事柄キャンプ道具はたくさん。テントだけで15張り以上ありますし、タープ、折り畳みのテーブル、椅子、簡易ベッドのコットだけでもそれぞれ10種類以上あって。最近はカッコよくて軽量化されたいいアウトドア用品も多いんですが、それでも撮影道具だけでクルマは埋まっちゃいますね。
- 小沢
- 何に乗っているんですか?
- 猪俣
- 仕事用はハイエースです。荷物がたくさん積めますから。ただし乗用車も好きで、修業時代はずっと父譲りのマークXジオに乗ってました。あれ、一見普通のファミリーカーと思ってる人も多いんですが、物凄く万能なんですよ。意外にプロ向け。大人が4~5人快適に乗れるのはもちろん、ラゲッジがやたらデカい。下手なステーションワゴン以上ですから。クルマの収納力について僕はちょっとウルサくて、少なくとも家族4人が座れて、かつ4人分のキャンプ道具が積めなければ家族用のクルマとして認めません(笑) 。
- 小沢
- それは手厳しい(笑) 。そんななか、このカローラ クロスを見て、触ってみていかがですか?
- 猪俣
- いや、予想以上に完璧というか、僕向きだと思いました。一見ちょっとマッチョなアウトドア向けのSUVですが、大人が前後で5人も乗れて、なおかつラゲッジも広い。これ1台あればほとんどの仕事にこと足りるんじゃないですかね。カッコよさから質感も含めて。コンパクトSUVだとこうはいかないですよね。
- 小沢
- さすが、わかってますね。カローラ クロスは大人4~5人が十分座れつつ、ラゲッジ容量も487Lとステーションワゴン並みに広い。今国内ではカローラ クロスと同時に、少し小さいヤリス クロスも人気なんですが、リアシートは当然狭めですし、ラゲッジは2段式で扱いやすいんですが絶対容量は小さめ。猪俣さんみたいな道具のプロから見ると、あのサイズでは積めないこともあるでしょう。
33年間連続で国内セールスNo.1だったカローラ
- 猪俣
- デザインもいいですよね。イマドキの都会派SUVというより、ちょっとアウトドア向けで力強いし、それでいてインテリアのクオリティも高い。しっかりメッキも使ってあるし、革調表皮のシートも選べたりして、高級車っぽさもあって。
- 小沢
- もともとカローラ クロスはASEAN地域で発表され、去年日本で発売されたんですが、カローラはアチラでは高級車という認識ですし、人と荷物がしっかり積めないと話になりません。グローバルで戦うにはあれくらいのサイズが必要なんです。
- 猪俣
- カローラって、やはりトヨタにとって重要なモデルなんですかね?
- 小沢
- もちろんです。クラウンやランクルに次ぐビッグネームだし、なによりも黄金比とも呼べる絶対的なバランスを持っています。1966年に生まれて、1969年から2001年まで33年連続で国内乗用車販売数で1位をキープしたんですよ。それはファミリー層だけでなく、あらゆるクルマユーザーの要求をバランスよく満たしたからです。乗員スペース、ラゲッジスペース、走り、そして、ある種の乗用車を持つプライドまで。
その変幻自在性こそ、カローラの凄さ
カローラシリーズの凄さはその変幻自在性にあります。初代カローラは1966年に登場。初代モデルからセダンは4ドアに2ドア、クーペ、 バン、 ワゴンまで幅広いラインナップがあり、3代目ではハードトップにリフトバック、その後ミニバンまで追加。11代目の海外仕様でハイブリッドが登場し、12代目から国内全車コネクティッド化。カローラは、いつの時代も非常にフレキシブルなクルマなのです。
- 猪俣
- 究極のバランスカーですね。
- 小沢
- その通り。しかも当初の高度成長期ではセダン、あるいはステーションワゴン中心でしたが、90年代前後から扱いやすいハッチバックやステーションワゴンモデルが登場して、時代に合わせてフォルムを増やしてきました。今の12代目カローラは4年前の2018年に生まれたんですが、当初はセダン、ワゴン、ハッチバックの3タイプ。去年SUV版のカローラ クロスが登場し、今年の2月には国内登録車販売数で1位になり、他の月でも2位、2021年度でも全体の3位に入ってます。これだけ長く売れ続けるというのはやはり並大抵ではないんです。
奥さんが運転するなら先進安全性の高さはマスト
- 猪俣
- 本当に静かで力強くて乗りやすいです。あれ、ハイブリッドですよね?
- 小沢
- はい。カローラは今や一部ハイブリッドカーでもあって、かつてはプリウスが独占していた1.8Lハイブリッドユニットを搭載し、他にも1.8Lガソリンも選べますし、どちらも適度にパワフル。特にハイブリッドは静かさが凄くて、モーター駆動ならではです。メーターはご覧になりました? ほら、ここのデジタル燃費メーター。
- 猪俣
- リッター23km!? 東京から千葉まで100km近く走ったのに?
- 小沢
- そうです。今のカローラ ハイブリッドは高速を普通に巡航したらほぼ確実にリッター20km台は行きますし、先進安全も全車標準装備。トヨタセーフティセンスの最新世代が付いていて、このステアリングスイッチを押して、セットボタンを押すと……アクセルから足を離しても走れるでしょ?
- 猪俣
- ホントだ。これがウワサの運転支援なんですね。今乗ってるバンはもちろん、マークXジオにもこんな機能は付いてませんから。奥さんがクルマを運転することを考えるとマストですね。
- 小沢
- この手の機能は今の新車ではほぼ当たり前に付きつつありますが、カローラはひとつ前の世代からトヨタセーフティセンスCに対応してましたし、現行12代目のカローラ スポーツは、同時に出たクラウンと一緒に「トヨタ初の本格コネクティッドカー」にもなったんです。
- 猪俣
- スマホっぽくなったと?
- 小沢
- そうです。車載専用通信機(DCM)を全グレードに標準搭載して、モニターで外部との通信やアプリのダウンロードもできるようになった他、SOSコールも標準になりました。走り、スタイル、広さ、質感でほとんどの人が満足できるクオリティを満たしているだけでなく、ハイテク度も高い。ある意味、究極の幕の内弁当カーですよ。
- 猪俣
- 今の人が求めるものが全部入っている……みたいな?
- 小沢
- カローラは、やっぱり今の乗用車のど真ん中にいるんですよ。それも昔ならカローラ セダンでしたが、今ならカローラクロスがど真ん中。家族全員でキャンプに行けるのはもちろん、買い物や高級ホテルにも行けるし、長距離走って帰省もできる。カローラ=万能カーって位置付けは、今も変わっていません。
- 猪俣
- あんまり意識してませんでしたが、トランプのジョーカーみたいなオールマイティな手札なんですね。
- 小沢
- ある意味そうです(笑)。
【COROLLA CROSS】
Specifications
- サイズ
- 全長4,490mm×全幅1,825mm×全高1,620mm
- 乗車定員
- 5名
- 燃費消費率
- ハイブリッドZ、S、G:26.2km/L(WLTCモード、国土交通省審査値)
ガソリンZ、S、G、“X”:14.4km/L(WLTCモード、国土交通省審査値) - エンジン
- 型式:[ハイブリッド]2ZR-FXE [ガソリン]2ZR-FAE
総排気量:1.797L
最高出力(ネット): [ハイブリッド]72kW(98PS)/5,200r.p.m.
[ガソリン]103kW(140PS)/6,200r.p.m.
最大トルク(ネット): [ハイブリッド]142N·m(14.5㎏f·m)/3,600r.p.m.
[ガソリン]170N·m(17.3㎏f·m)/3,900r.p.m. - フロントモーター
- 型式:1NM
種類:交流同期電動機
最高出力:53kW(72PS)
最大トルク:163N·m(16.6㎏f·m) - 動力用主電池
- リチウムイオン電池(ニッケル水素電池)
詳しい情報・お問い合わせ
トヨタ自動車株式会社 お客様相談センター
TEL:0800-700-7700 (全国共通・フリーコール)
受付時間:9:00~16:00 年中無休
ウェブサイト: https://toyota.jp/corollacross/
本記事は、「Harmony 2022 Summer」より内容の一部を抜粋しております。
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