ダカールラリー2024レポートTOYOTA GAZOO Racing、過酷な2週間を戦い抜き、3台がトップ10フィニッシュ

Car

サウジアラビアを舞台に1月5日(金)から全12ステージ、2週間で争われてきたダカールラリー2024。この「世界一過酷なラリー」も1月19日(金)にゴールを迎えました。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は今大会、新規定にあわせて改良したGRダカールハイラックスEVO T1Uの5台体制、そして、大幅に入れ替えたドライバーラインナップで臨み、3連覇こそ叶わなかったものの、3台がトップ10フィニッシュを果たしました。

15日間、総走行距離8000kmにわたる厳しい戦いを経て、TGR勢は、今大会初のダカール挑戦となったガイ・ボッテリルと、チームに加わって4年目のブレット・カミングスのコンビが最上位の6位フィニッシュ。
2009年のダカールウィナーであり、これまで20回のダカール参戦経歴を持つジニエル・ド・ヴィリエールとデニス・マーフィ組は7位でフィニッシュ。これでド・ヴィリエールの持つダカールでのトップ10フィニッシュ記録は20回へと更新されることとなりました。

ステージ3でチームにステージ優勝をもたらしたルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組は、ステージ10まで総合3位、残り2日となったステージ11では一時総合2位まで浮上。しかし、その直後にアクシデントに見舞われ無念の後退。それでも最終結果では9位に入り、TGR勢は3台がトップ10フィニッシュを果たしました。
18歳とダカール史上最年少でのワークスドライバーの一人となったサオード・ヴァリアワはフランソワ・カザレと組み、初のダカールで序盤は苦しんだものの、ステージを重ねるごとに経験を積んでいき、見事16位でフィニッシュ。

T3カテゴリーで輝かしい経歴を残し、ダカールでの経験も豊富な21歳の期待のセス・キンテロは今年からTGRに加わり、トップカテゴリーで参戦。デニス・センツと組み、速さを見せたものの前半戦のアクシデントで上位争いから脱落。その後はシリーズ参戦するW2RCポイントとチームメイトのアシストのために走行を続け、ゴールまで走り切りました。

例年に増して激しく、厳しいコース設定で多くの競技者を苦しめたダカールラリー2024ですが、プライベーターとしてトヨタ・ハイラックスで出場したギョーム・ド・メビウス/ザビエ・パンセリ組(OVERDRIVE RACING)が2位に入るなど、トヨタ・ハイラックスはTGRの3台を含めトップ10中6台を占め、その速さと信頼性、耐久性の高さを示しました。

また、トヨタ車体株式会社のラリーチーム、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)から市販車部門に参戦したランドクルーザー300 GR SPORTは、ドライバーの三浦昂/マイヨール・バルベ組が市販車部門でクラス首位、チームメイトのロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組がクラス2位でフィニッシュ。TLCは市販車部門で11連覇を達成しました。
日野チームスガワラからHINO600シリーズでトラック部門に参戦した菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組は、排気量で上回るライバル勢との激戦を戦い抜き、トラック部門総合6位の好成績で見事完走を果たしました。

【ステージ11】

1月18日(木)のステージ11は、アルウラからサウジアラビア西海岸の都市ヤンブーへと移動する、競技区間420km、総走行距離527kmで争われました。長いダカールラリーもこの日が最後の長距離での戦い。この日もハードなステージで、多くの競技者が苦しみ、波乱が起こりました。TGRのクルーも例外ではなく、残り2日というところで試練のステージとなってしまいました。

ステージ10を終えた時点で、TGR勢最上位の総合3位を走行していたモラエス/モンレオン組は、表彰台目指し走行。2位を走行するセバスチャン・ローブ(BAHRAIN RAID XTREME)がトラブルでタイムロスしたことで、一時は総合2位への期待も高まりましたが、荒れた路面でダンパーとサスペンションアームの破損に見舞われ、チームメイトのアシストを待つこととなり、大きくタイムを失ってしまいました。このタイムロスにより、モラエス/モンレオン組は総合9位へと後退を余儀なくされ、表彰台への望みは絶たれてしまいました。

一方、このステージではルーキーのヴァリアワ/カザレ組が好走を見せ、順位を上げました。彼らはモラエス/モンレオン組をアシストするために何度も停止し、自らもパンクに見舞われましたが、この日首位から12分37秒遅れの5位のタイムでフィニッシュ。総合順位も18位に上げました。

ボッテリル/カミングス組もクリーンな走りで、モラエス/モンレオン組のサポートのために約10分間ストップしながらも、10位でフィニッシュ。モラエス/モンレオン組の後退により、ボッテリル/カミングス組はTGR勢最上位の6位に浮上しました。

ベテランのド・ヴィリエール/マーフィ組にとっても厳しいステージとなりました。モラエス/モンレオン組をサポートするためにタイムをロスし、39分24秒遅れの22位でフィニッシュ。それでも総合では7位につけています。
上位争いからは脱落したキンテロ/センツ組は、チームメイトのアシストに転じ、パーツを運ぶ役に徹しました。モラエス/モンレオン組の車両に自分たちのダンパー及びサスペンションアームを提供、これにより大幅なタイムロスとなり、48位でステージを終えました。

【ステージ12】

1月19日(金)最終日となるステージ12は、ヤンブーのビバークからループ上のコースを走り、ヤンブーへと戻るループステージ。競技区間175km、総走行距離328kmと短いものの、2024年のダカールは最後までタフなステージとなりました。

TGR勢最上位の6位につけるボッテリル/カミングス組は、序盤にパンクを喫するも、その後は慎重なペースで走り抜き、首位から10分52秒遅れの18位でフィニッシュ。総合6位のポジションを守り、ダカールラリー2024でのTGR勢最上位フィニッシュを果たしました。

ド・ヴィリエール/マーフィ組はこれに続く19位。モラエス/モンレオン組が8分20秒遅れの11位。キンテロ/センツ組は13位、ヴァリアワ/カザレ組も22位と着実に最終ステージをフィニッシュ。TGRのGRダカールハイラックスEVO T1Uは、5台揃って完走を果たし、ヤンブーの海岸沿いに設営されたゴールポディアムでのセレモニーでフィニッシュを祝うと共に、タフな2週間の健闘をたたえ合いました。

ダカールラリー2024 最終結果(T1Uクラス)


総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(チーム) 首位との差
6位 #243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
(TOYOTA GAZOO Racing)
2時間40分33秒差
7位 #209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
(TOYOTA GAZOO Racing)
2時間50分26秒差
9位 #206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン
(TOYOTA GAZOO Racing)
3時間03分12秒差
16位 #226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ
(TOYOTA GAZOO Racing)
5時間54分41秒差
42位 #216 セス・キンテロ/デニス・センツ
(TOYOTA GAZOO Racing)
69時間04分43秒差

ダカールラリー2024に対するモリゾウコメント

クルマ好きが集まる新年のお祭りはオートサロンだけではありません。もっと伝統があって、もっと壮大で、とことんストイックなクルマ好きのお祭りが、毎年、年初に開かれています。ダカールラリーです。

ダカールラリーにゴールして、やっと本当の新年を迎えた皆さま、あけましておめでとうございます。全長8000キロ、15日間のドライブ本当にお疲れさまでした。

TOYOTA GAZOO Racingの皆さまへ

ハイラックスで挑戦してくれた206号車モラエス選手、モンレオン選手、209号車ド・ヴィリエール選手、マーフィ選手、216号車キンテロ選手、センツ選手、226号車ヴァリアワ選手、カザレ選手、そして243号車ボッテリル選手、カミングス選手、完走おめでとう!

5台を合計すると地球1周分の道でハイラックスを鍛えてくれたことになります。トヨタは、ハイラックスを”もっといいクルマ”にしていくため、皆さんの走りを活かしてまいります。ありがとうございました!

水素エンジンバギーでダカールに挑戦した皆さまへ

“People who are crazy enough to think that they can change the world”(自分達で世界を変えられると思うほどクレイジーなやつら)という褒め言葉が主催者から皆さんに贈られたと聞きました。

水素エンジンに挑むのはクレイジーだと私自身も思っています。でも最高に楽しくて、最高にエキサイティングです。だからこそモリゾウたちが続けている挑戦も今年で4年目を迎えます。

皆さん、クレイジーな挑戦を本当にありがとうございました。これからも一緒に未来をつくりましょう!

日野チームスガワラの皆さまへ

クラス6位そして33回連続のダカール完走おめでとうございます!

ドライバーが気持ちよく走れて、より負担なく目的地に辿り着ける…そんなトラックが世界中で求められています。普通乗用車にも負けないような”もっと乗り心地のよい”トラックを目指して、これからも走り続けてください!

トヨタ車体 チームランドクルーザー・トヨタオートボデーの皆さまへ

11年連続 市販車部門優勝おめでとう!
例年以上に厳しいコースを、501号車のバソ選手、ポラト選手は、トラブルを乗り越えて完走してくれました。今年もランクルを鍛えてくれてありがとう!

500号車は、ドライバーの三浦選手と、2人のナビゲーター、バルべ選手、リシトロイシター選手の3人で走り切った優勝だったと思います。
3人で走ることになった今年のダカールは三浦選手にとって辛い想いもあったかもしれません。500号車が最高の結果でゴールできて、心からよかったと思います。おめでとうございます。

ひょんなことからチームランドクルーザーと交わした「V12」という約束。約束したのはV8のときでした。当時はV12まで長い道のりと思っていましたが、あと一歩のところまで来てくれました。本当にすごいことです。チームランドクルーザーの皆さん”もっといいランドクルーザーづくり”を引き続き、よろしくお願いいたします!

普通のクルマ好きのおじさん モリゾウ


【ダカールラリー2024写真】

TOYOTA GAZOO Racing
トヨタ車体(チームランドクルーザー・トヨタオートボデー)
日野チームスガワラ
HySE (技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合)

ダカールラリー2024終了時のコメント

シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表)

ダカール2024がフィニッシュを迎えましたが、ご存じの通り、浮き沈みの激しい展開でした。良いこともあれば悪いこともあり、チャレンジングで、困難なラリーでした。残念ながら昨日のステージ11で表彰台フィニッシュの夢は潰えました。しかし、さらに強くなるために戦い続けます。

アラン・デュハディン(TGR W2RCチーム代表)

素晴らしい結果だったと思います。TGRの5台全てが完走したことはもちろん、最終結果でトヨタ・ハイラックスの1台がトップ3,2台がトップ5,そして、トップ10には6台が入りました。トヨタブランドにとって大きな成果であり、品質と耐久性、信頼性を証明できたと思います。

ガイ・ボッテリル(No.243)

今日のステージでも序盤からパンクに見舞われたので、その後はペースを落として、気楽に走るだけでした。ブレットはラリーを通して信じられないほどの働きをしてくれました。初めてのダカールラリーで完走できたことも信じられないのに、トップ10、6位でフィニッシュできたなんて、夢のようです。

ジニエル・ド・ヴィリエール(No.209)

望み通りの結果にはなりませんでしたが、完走は果たすことができました。素晴らしい働きをしてくれたチームに感謝します。今年もダカールが終わりました。コ・ドライバーのデニス、そして、クルマに携わったメカニック達にも感謝しています、今年は本当にタフなラリーでしたが、完走できてとても嬉しいです。

サオード・ヴァリアワ(No.226)

信じられません! 4,500km以上の純粋な戦いで、本当に、本当にタフな、世界で一番タフなラリーでした。想像もできなかったことばかりでしたが、最後まで走りきることができました。やるべきことはやりました。私の目標は完走であり、それは達成しました。加えて、幾つかのステージでは好結果も残せました。18歳でワークスチームの一員として、ダカールラリーを完走できるなんて本当に信じられません。チームと、この機会を与えてくれたトヨタ、そして、コ・ドライバーと家族に感謝の気持ちを伝えたいです。

ルーカス・モラエス(No.206)

正直なところ、今思い返せば、私にとって2度目のダカールラリーでトップ10フィニッシュを果たせた、それだけでも十分信じられないことです。もちろん、昨年は3位だったので、今年はそれ以上の結果を目指してもいました。一度ヘルメットを被ってしまえば、あとはアクセル全開で走りたい、それだけです。今日のステージ12では、砂埃に苦しめられ、残念な結果ではありましたが、とても楽しめましたし、何度もプッシュしました。全体的に見て、完走できたことをうれしく思います。素晴らしい働きをしてくれたTOYOTA GAZOO Racingチーム全員と、全てのパートナー、メディア、そして、ブラジルで応援してくれたファンの皆さまに感謝します。

セス・キンテロ(No.216)

タフなラリーだったことは確かで、望んだ結果ではありません。しかし、今にして思えば、多くのことを学ぶことができましたし、また、多くのテストや開発などにも携わり、たくさん楽しさを味わうことができました。全体的に見て、素晴らしい2週間でした。次のラリー、そして来年のダカールが待ちきれません。

最新情報はこちら

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Raid and Dakar TeamのSNSアカウント(英語)

Access to Harmony Digital アクセス方法

MYページから、デジタルブック全文や、
TS CUBIC CARDゴールド会員さま、有料購読者さま限定コンテンツをご覧いただけます。

TS CUBIC CARD TS CUBIC CARD ゴールド個人会員さまMY TS3 ログインはこちら

※本サービスのご利用は、個人ゴールド会員さまとなります。
※一部対象外のカードがございます。

TS CUBIC CARD ゴールド法人会員さま有料購読会員さまENEOSカードPゴールド会員さまの認証はこちら

MY TS CUBICにログイン後、トップページの「あなたへのおすすめ」エリアに掲載されている
「Harmony DIGITAL」バナーをクリックしてください。

※バナーイメージ

2024 Spring

アクティブな毎日、ゆとりと調和のある生活に役立つクオリティマガジン「Harmonyデジタルブック」をお届けします。