ACADEMIE DU VINワインボトルは産地によって異なる?ワインボトルの種類とサイズとは
ワインボトルを見たときに、どの産地で造られてどんなブドウ品種を使っているのかといったことは、エチケット(ラベル)を見れば分かります。
ただ、エチケットからワインの情報を知るにはフランス語や英語を読み解く必要があり、少し大変ですよね。
もっと簡単に見分けたいという方のために、とっておきの方法があります。
それはワインボトルの形で見分けるというものです。
決して正確と言い切れはしませんが、ワインボトルの形状は国・地方によってそれぞれの特徴があります。
ですから、形を見ればある程度、産地や味わいを予測できるというわけです。
簡単にワインの楽しみを広げられる、ワインボトルについて詳しく見ていきましょう。
【目次】
〇ワインボトルの種類
・フランスワインに使われるワインボトル
・ドイツワインに使われるワインボトル
・イタリアワインに使われるワインボトル
・アメリカやチリなど新世界の産地で使われるワインボトル
〇ワインの容量はどうして750mlなの?
・フランス・シャンパーニュ地方におけるサイズ別のボトルの呼び名
・フランス・ボルドー地方におけるサイズ別のボトルの呼び名
・特大サイズのワインボトルの呼び名
それでは、上の目次に沿って説明します。
ワインボトルの種類
ワインボトルは産地によって様々な種類があります。ここではワインの代表的な産地で使われるワインボトルについてご紹介します。
フランスワインに使われるワインボトル
フランスワインに使われる代表的なワインボトルとしては「ボルドー型」、「ブルゴーニュ型」、「シャンパーニュ(シャンパン)型」、「アルザス型」、「プロヴァンス型」の5つがあります。
<フランスワインに使われるワインボトル>
・ボルドー型
・ブルゴーニュ型
・シャンパーニュ(シャンパン)型
・アルザス(フルート)型
・プロヴァンス型
では、順に説明します。
ボルドー型
フランスのボルドー地方が産地のボルドーワインは、いかり肩をしているワインボトルに詰められています。
タンニンの強いワインは特に、熟成させる過程で澱が生じてしまいます。
ワインを楽しむ際にはこの澱を避けて飲みますが、この形状のボトルであれば肩の部分で澱を留めることができます。
タンニンが強く、澱の生じやすいボルドーワインには、このボルドー型のボトルが使われているのです。
ブルゴーニュ型
フランスのブルゴーニュ地方が産地のブルゴーニュワインが詰められているのは、なで肩をしているワインボトルです。
ブルゴーニュワインには、タンニンが強く長期熟成に向いたワインが数多くあります。
これを聞くと「どうしてボトルはいかり肩ではないの?」と思う方もいるでしょう。
ブルゴーニュワインの場合、熟成中に何度も澱引きをしますし、瓶詰めの際に濾過をします。
こうして入念に澱を取り除いているので、いかり肩にする必要がなく、なめらかな曲線のボトルにすることができるのです。
シャンパーニュ(シャンパン)型
スパークリングワインは、このシャンパーニュ(シャンパン)型のワインボトルに詰められています。
世界的にほとんどすべてのスパークリングワインがこのタイプのボトルです。
スパークリングワインには炭酸ガスが含まれていますので、ボトル内から外に向けた圧力が強くかかります。
その圧力に負けないようにと、分厚くて頑丈なガラスで作られたボトルとなっています。
アルザス(フルート)型
アルザス型は、背が高くスリムで、なで肩タイプの形です。
アルザス地方で造られるワインは、この形のボトルに詰められています。
アルザス地方はドイツ領となっていたこともあるからか、後に紹介するライン・モーゼル型に似た形をしているのが特徴です。
プロヴァンス型
プロヴァンス型は、ボトルの腰あたりがくびれています。
名前の通りプロヴァンス型のワインボトルは、ロゼワインで有名なプロヴァンス地方で造られるワインを詰めるのに使われます。
くびれのあるボトルに詰められるロゼワインからはセクシーな印象を受けますね。
ドイツワインに使われるワインボトル
ドイツワインに使われる代表的なワインボトルには、「ライン・モーゼル型」と「ボックスボイテル(フランケン)型」の2種類があります。
<ドイツワインに使われるワインボトル>
・ライン・モーゼル(フルート)型
・ボックスボイテル(フランケン)型
では、順に説明します。
ライン・モーゼル(フルート)型
ライン・モーゼル型は、ブルゴーニュ型よりも細みで背が高いボトルです。
細長くなっている分だけ、なで肩部分の傾斜が急にもなっています。
ドイツワインのほとんどがこの形のボトルに詰められています。
ボトルの色に関しては基本的に、ライン地方は茶色でモーゼル地方は薄い緑色をしています。
最近では青いボトルのワインも増えてきています。
ボックスボイテル(フランケン)型
ボックスボイテル型は、ボトルネックから下が半円状に膨らんでいる形をしています。
他のワインボトルよりも厚みがなく、高さも低くなっています。
ボックスボイテルというのは、ヤギの陰嚢という意味です。
かつてはヤギのふぐりの皮を使ってワインを運んでいました。
それに似ていることから、ボックスボイテル型という名がついています。
ドイツのベックシュタイン地方やフランケン地方、ポルトガル、イタリア、ギリシャのワインに使われています。
イタリアワインに使われるワインボトル
イタリアワインに使われる代表的なワインボトルとして「バローロ型」、「キアンティ型」、「フィッシュ型」の3つがあります。
<イタリアワインに使われるワインボトル>
では、順に説明します。
バローロ型
バローロワインが詰められているのが、このバローロ型です。
形状としてはボルドー型同様に肩のはったものや、ブルゴーニュ型同様になで肩タイプのものもあります。
キアンティ型
キアンティ型は、トスカーナ地方のワインで、丸い瓶に藁を編んで作った藁苞(わらづと)と呼ばれる容器に入っています。
これは国内外へ運搬するときに割れにくくするように工夫したところが始まりです。
ただ、最近では手間のかからないバローロ型を使用するものが多くなっています。
フィッシュ型
フィッシュ型というのは文字通り、魚の形をしたワインボトルのこと。
ペッシェヴィーノという名のテーブルワインに使用されています。
おしゃれなボトルですので、空き瓶をインテリアとして再利用することもできますね。
アメリカやチリなど新世界の産地で使われるワインボトル
新世界(アメリカやオーストラリアなど)の産地では、使用するブドウ品種やワインのスタイルに応じて生産者が瓶の形を選んでいます。
例えば……
・カベルネ・ソーヴィニョンを使ったワインならボルドー型
・シャルドネを使ったワインならブルゴーニュ型
・低アルコールの中甘口ワインならフルート型
使っているブドウ品種に応じてワインボトルを選んでいることが多いです。
ワインの容量はどうして750mlなの?
ワインボトル1本には基本的に750mlが入っています。
これに関してはご存知の方も多いでしょう。
しかし、ワイン1本が750mlの理由については知らない方も多いですよね。
日本で売られている清涼飲料水の容量は500mlや1Lなどの単位が使われていることがほとんとですよね。
なぜワイン1本は750mlなのでしょうか。
それには昔の貿易が関係しています。
かつてのイギリスでは貿易の際に「ガロン」という単位が使われていました。
1ガロンは4.5Lですので、ワインに換算すると6本分です。
つまり、2ガロンで1ダース(ワイン12本分)となるため、計算するうえで1本750mlが非常に便利だったようです。
そんな歴史的な背景もあり、ワインは1本750mlとなっています。
とはいえ、ハーフサイズのものや、2本分、それ以上の大きさのワインも存在します。
ご自身のペースに合わせてワインのサイズも考えていきましょう。
なお、ワインのサイズには数多くの種類があり、サイズによって呼び名もあります。
ワインの知識を深めたいのであれば、サイズごとの呼び名も知っておきましょう。
フランス・シャンパーニュ地方におけるサイズ別のボトルの呼び名
シャンパーニュ地方での呼び名をサイズごとにご紹介します。
シャンパーニュ地方でのサイズ別ワインボトルの呼び名 | |
ボトルのサイズ | ボトルの呼び名 |
4分の1本(187ml、200ml) | キャール(quart) |
2分の1本(375ml) | ドゥミ・ブテイユ(Demi Bouteille) |
1本(750ml) | ブテイユ(Bouteille) |
2本(1,500ml) | マグナム(Magnum) |
3本分(2,250ml) | マリー・ジャンヌ(Marie-Jeanne) |
4本分(3,000ml) | ジェロボアム(Jéroboam) |
6本分(4,500ml) | レオボアム(Réhoboam) |
8本分(6,000ml) | マチュザレム(Mathusalem) |
12本分(9,000ml) | サルマナザール(Salmanazar) |
16本分(12,000ml) | バルタザール(Balthazar) |
20本分(15,000ml) | ナビュコドノゾール(Nabuchodonosor) |
なお、「ジェロボアム」に関してはボルドー地方では異なるサイズの呼び名となっていますから、それだけは注意しておきましょう。
フランス・ボルドー地方におけるサイズ別のボトルの呼び名
続いては、ボルドー地方におけるサイズ別の呼び名をご紹介します。
ボルドー地方でのサイズ別ワインボトルの呼び名 | |
ボトルのサイズ | ボトルの呼び名 |
4分の1本(187ml、200ml) | キャール(quart) |
2分の1本(375ml) | ドゥミ・ブテイユ(Demi Bouteille) |
1本(750ml) | ブテイユ(Bouteille) |
2本(1,500ml) | マグナム(Magnum) |
3本分(2,250ml) | マリー・ジャンヌ(Marie-Jeanne) |
4本分(3,000ml) | ダブル・マグナム(Double Magnum) |
6本分(4,500ml) | レオボアム(Réhoboam) ジェロボアム(Jéroboam) |
8本分(6,000ml) | アンぺリアル(Impérial) |
特大サイズのワインボトルの呼び名
20本分のワインボトルでも十分に大きく驚きなのですが、それよりもさらに大きいサイズのワインボトルもあります。
特大サイズのワインボトルの呼び名についても見ていきましょう。
特大サイズのワインボトルの呼び名 | |
ボトルのサイズ | ボトルの呼び名 |
24本分(18,000ml) | サロモン(salomon) |
35本分(26,250ml) | スーヴラン(souverain) |
36本分(27,000ml) | プリマ(primat) |
40本分(30,000ml) | メルキゼデック(melchizédec) |
まとめ
以上、ワインのボトルについてお伝えしました。
ボトルを見るだけでもある程度、産地や味わいの予測が立てられます。
例えば、「今日はタンニンが強く重厚なワインが飲みたい気分」というときには、いかり肩のボトルを中心に見ていけばよいというわけです。
これさえ知っておけばワイン選びの時間を短縮させることもできますし、ワインボトルを見るのも楽しくなるでしょう。
ご興味のある方は、これを参考にしてワインボトルに関する知識も覚えてみてはいかがでしょうか。
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