Remote island trips今、離島がアツい!
小笠原・瀬戸内・沖縄諸島固有の文化を楽しむ島トリップへ

Travel

“東洋のガラパゴス”と呼ばれる小笠原諸島や世界遺産に登録された沖縄島北部及び西表島などといった離島、アートを体感できる新たなエリアとして話題を集める瀬戸内海など、美しい光景とともに日本独自の文化を体感できる島トリップが再注目されています。そこで、日本の島旅ならではの魅力や、今訪れるべきスポットを紹介します。

海外インフルエンサーも注目!
離島旅の魅力

四方を海に囲まれた日本には、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島以外にも、約14,120の離島があり、その中で有人離島は256(2023年時点)を数えます。多種多様な島を旅する魅力は、美しい海やほかの地域にはない生態系をもつ自然、独自に紡がれてきた文化、そして都会とは違った穏やかに流れる時間を享受できること。その特有のおもしろさは、インバウンド旅行客からも注目を集め、旅の目的地として選ばれています。

「旅行を目的にした訪日外国人のリピーターが増えた今、旅先は王道のゴールデンルートだけでなく、ニッチなスポットにも広がり多様化しています」と話すのは、1964年に来日して以来、60年にわたって日本の魅力や観光業界の変遷を追いつづけてきた東洋文化研究家のアレックス・カーさん。

「観光客が少なく、手つかずの大自然が残る場所に日本の“本当の美しさ”を感じます」とアレックス・カーさん

「今、日本を訪れる外国人は“テーマで巡る旅”に価値を見出しています。たとえば、アート。日本には世界的な芸術家の作品や美しい美術館が多く点在しています。さらに、ノスタルジックな街並みと自然とが一体化した瀬戸内海の直島などは“現代アートの聖地”と称され、多くのアートファンの心をつかむスポットになっています」

香川県・直島の突堤で展示されている前衛芸術家、草間彌生の作品「南瓜」

そして、日本の原風景が感じられる自然と、島国ならではの独自に進化した文化も魅力と続けます。

「日本の地方の里山や漁村、離島には、複雑に入り組んだ海岸線や川、山、湖など、四季折々の表情を見せてくれる自然が残されています。それは『利便性』を最優先し、近代化し続けてきた日本の中で貴重な財産。日本は植民地として支配されず、大きな革命も起こらなかったので文化が断絶せず、美しい自然の中で地方特有の文化や風習、儀式が脈々と受け継がれてます。そういったものに触れることで、改めて日本の素晴らしさを再発見できるのではないでしょうか」

その中で、今旅先として注目を集める離島をご紹介します。

小笠原諸島

小笠原諸島は、東京から南へ約1,000km離れた太平洋上に点在する30余の島々。気候は、年間平均気温23℃の亜熱帯に属します。動植物は、イルカやクジラはもちろん、オガサワラオオコウモリやムニンノボタンなど絶滅が危惧される固有種も多く生息します。小規模な海洋島でありながら固有種の割合が多いこと、生物の進化を示す貴重な証拠が残されていることが高く評価され、2011年に世界自然遺産として登録されました。

小笠原諸島・父島の南西1kmに浮かぶ南島は、世界でも珍しい「沈水カルスト地形」が美しい景観を生み出しています

小笠原諸島の父島と母島は有人島で、ほかは無人島です。空港はなく、アクセスは東京・竹芝の「竹芝客船ターミナル」から出港している定期客船「おがさわら丸」のみ。運行は週に1度、父島の二見港まで約24時間かかるので、旅程は往復の船上2泊を含め5泊6日が基本です。

小笠原諸島は日本一のアオウミガメの繁殖地として名高い

父島で訪れたいのは、5~8月にウミガメの産卵が見られる美しい「大村海岸」や、コバルトブルーの海と原生林をもつ大地のコントラストによる絶景が楽しめる「長崎展望台」。“秘境ビーチ”と称される最南西端に位置する「ジニービーチ」や「ジョンビーチ」は、リピーターに人気のスポットです。よりディープに小笠原諸島を体験したい方は父島から約2時間の船旅で母島へ。ハハジマノボタンなどの固有種の宝庫「乳房山」や、山頂から珊瑚礁の美景が望める日本最南端の山「小冨士」のトレッキング、アオウミガメの人口産卵場がある「脇浜なぎさ公園」などがおすすめです。

●参考リンク
小笠原村観光協会
https://www.ogasawaramura.com

奄美大島・徳之島・西表島

次にご紹介するのは、かつて琉球列島と呼ばれていた鹿児島県と沖縄県の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」です。ここには国際的絶滅危惧種が90種類以上生息するなど世界的にも稀な生物多様性が評価され、2021年に世界自然遺産に認定されました。その中でぜひ訪れたい離島が、奄美大島、徳之島、西表島の3島です。

国内有数の透明度を誇る奄美大島のビーチ

奄美群島の中でもっとも大きな島である奄美大島へは、東京・大阪・福岡・鹿児島・沖縄から直行便の飛行機、那覇・鹿児島からフェリーを利用できます。見どころは、稀少な動植物が数多く生息する「金作原(きんさくばる)原生林(※)」や、カヌーツアーで体感できる国内で2番目に広大なマングローブ原生林「住用マングローブ林」、船でしか行けない秘境ビーチ「コウノトリビーチ」など神秘的な大自然。約1,300年の歴史を誇る世界三大織物のひとつ「奄美大島紬」も見逃せません。
※金作原原生林の利用は、奄美群島認定エコツアーガイドの同行が必要

徳之島では闘牛のふれあい体験もできます

奄美群島のほぼ中央に位置する徳之島は、飛行機では鹿児島か奄美大島、フェリーでは那覇か奄美大島からアクセスできます。この地は、絶滅危惧植物のオオアマミテンナンショウをはじめとする固有植物の宝庫として知られ、約400年の歴史がある全国有数の闘牛場が有名です。ゆったりとした時間が流れる徳之島旅の醍醐味は、古民家宿などで暮らすように滞在し、人や自然、文化を体感できること。人と人の助け合いを意味する「ユイ」の精神に触れれば、日本の豊かな営みを再発見できるかもしれません。

原生林が広がる西表島は日本最南端の国定公園
国の天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコ

沖縄県の八重山列島に属する西表島は、島の約9割が亜熱帯のジャングルで覆われている国内有数の秘境。「イリオモテヤマネコ」をはじめ天然記念物や絶滅危惧種を含む稀少な動植物が息づく神秘の島として知られています。西表島は、その雄大な自然を体験するアクティビティが何よりの魅力です。カヤックとトレッキングで原生林に分け入って辿り着く「ピナイサーラの滝」、日本最大のマングローブ林を探検する「仲間川マングローブクルーズ」、西表島随一の透明度と称される「イダの浜」など、ここにしかないネイチャー体験を楽しんでください。なお、西表島に空港はなく、石垣島からフェリーで行くことができます。

●参考リンク
あまみ大島観光物産連盟運営の公式サイト「あまみの」
https://www.amami-tourism.org

徳之島観光連盟
http://www.tokunoshima-kanko.com

沖縄たけとみ島時間/西表島時間
https://taketomi-shimajikan.okinawa/iriomote

直島

瀬戸内海に浮かぶ直島、豊島(てしま)、犬島には、自然の風景と調和したアート作品や建造物が点在しています。それらは、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアートプロジェクト「ベネッセアートサイト直島」によるアート作品群で、世界中のアートファンを魅了しています。

雄大な自然とアートが融合した直島

その中心拠点が、高松港から高速フェリーで約30分の直島です。建物の大半が地中に埋められ、クロード・モネやジェームズ・タレルなど世界的な芸術家の作品が恒久設置されている「地中美術館」が有名です。このほか、安藤忠雄建築と直島の歴史が融合した「ANDO MUSEUM」、島のシンボルである草間彌生の「赤かぼちゃ」や空き家をアーティストが作品化した「家プロジェクト」などの現代アートが、島の街並みと見事に融合。文化的な発見と刺激に満ちているのが特徴的です。

●参考リンク
ベネッセアートサイト直島
https://benesse-artsite.jp

ネクスト世界遺産「佐渡島」にも注目!

そして、今後注目したい離島が新潟県の佐渡島です。新潟の西部に位置するこの島には、400年以上にわたって世界でも類をみない金・銀の採掘、生産システムを築き、国際経済にも大きな影響を与えた「佐渡金山」の遺跡が良好な状態で残されています。その歴史的価値の高さから、国内で有力な世界遺産の候補地になっています。また、風光明媚な大自然や能をはじめとする伝統文化、そして大海が育んだ食文化など魅力が尽きません。世界遺産に登録されて多くの旅行者で賑わう前に、訪れてみてはいかがでしょうか。

「東洋一の浮遊選鉱場」と称された遺跡が当時の姿のまま残っています

●参考リンク
さど観光ナビ
https://www.visitsado.com

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