気になるトヨタ車高級車の新しいカタチ。
アルファード/ヴェルファイア
text:Tomoyuki Shimada(嶋田智之)
photos:Keishi Okuzumi(奥隅圭之)、Masanobu Ikenohira(池之平昌信)、トヨタ自動車
photos:Keishi Okuzumi(奥隅圭之)、トヨタ自動車
別々の個性を与えられた新型アルファードとヴェルファイアその違いが、ステアリングを握ることで明らかになった。市街地や都市高速を舞台に、2台の走りの差をレポートしよう。
ひとつの理念をベースに2つの個性を作り分けた
ひとつの理念をベースに2つの個性を作り分けたアルファード/ヴェルファイアの人気は相変わらず根強いな、と思う。6月に新型が発表されるやディーラーはお客さんであふれたし、納車はかなり先という状況も続いている。参考にはならないだろうけど、身近なところでも知人が奥方に「アルファードに買い換えようよ」と迫られてるところを何度か目撃した。僕自身は友達の少ない独居中年だからミニバンそのものを必要と感じたことがないのだが、それでも誰かに乗せてもらうならアルファードは最高、と感じているところはある。
ところが新型に試乗してみて驚いた。アルファードは“乗せてもらいたい”という気持ちがさらに大きく膨らむクルマに進化していたし、ヴェルファイアは“自分で運転するのも悪くない”と感じられるクルマへと変貌していた。
どういうことか。トヨタは基本を同じくする1台のクルマを、それぞれ別のテイストを持つクルマへと見事に作り分けていたのだ。あえて近い言葉をあてはめるなら、アルファードはショファードリブン、ヴェルファイアはドライバーズカー、だろうか。もちろんベースはひとつなので、片方の得意分野をもう片方もある程度以上カバーしているのだけど、そう分けて考えたくなるくらい乗り味が違っている。
ミニバンの王道をいくアルファードの走り
御存知のとおりアルファードというクルマが先にあり、派生として登場したのがヴェルファイア。2008年5月、アルファードの最初のフルモデルチェンジのタイミングでのことだ。以来、アルファードは格式の高さや洗練、ヴェルファイアは強さや精悍、というような別々の個性が与えられてきた。が、それはあくまでもルックスに関わる部分のみだった。
ところが新型アルファードとヴェルファイアは、これまでのイメージを継承しつつ、走りの個性という部分をそれぞれ明確にしてきている。
もちろん両車に共通して進化が感じられる部分もある。それはボディ全体の頑丈さがこれまで以上に感じられる部分だったり、サスペンションがよりスムーズに動いてる感じだったり、ドライバーの運転姿勢がより乗用車ライクになってるところだったり、これ以上何が必要? と思えるくらい装備類が充実してるところだったり。
いうまでもなく室内の広さも文句なしだ。何せ全長4995mm、全幅1850mm、全高1945mmというサイズでありながら、居住空間の作り方においてはコンマ1mmレベルのせめぎ合いを繰り返して広さを稼ぎ出してるのだから。このクラスのミニバンに求められる基本要素を、ものすごく高いレベルで満たしているといっていい。その上での乗り味の差別化、なのである。
アルファードは、とにかく快適なクルマだった。乗り味はしなやかにして柔軟。路面が多少荒れた箇所を通過しても、まるで“今、何かあった?”ぐらいなもので、とてもまろやかで優しく、包容力のある心地よさを感じさせてくれる。この日の僕はあくまでもドライバーだったので代わりに乗り心地に敏感な女性スタッフに2列目シートに収まってもらったのだけど、反応は上々どころではなかった。特にキャプテンシートと周波数感応型ダンパーを備えたモデルでは、これまで聞いたことがないくらいの絶賛だった。まさしく高級ミニバンの王道中の王道だ。
ヴェルファイアには運転を楽しむ悦びがある
ヴェルファイアはどうかといえば、この大きさのミニバンを走らせてるということがちょっとばかり信じられなくなるくらい、ステアリング操作に対するクルマの反応がよく、気持ちよく曲がってくれる。この車格にしてはという前置きは必要だと思うけど、軽快、スポーティ、と表現してもいいくらいだ。
コーナリング時の車体の左右への傾きや加減速によるフロントやリアの上下動も巧みに抑えられてるし、高速巡航時の車体の座りもかなりいいので、強い安心感を覚えながらドライブできる。とりわけヴェルファイア専用の2.4リッターターボを積んだモデルは、加速のパンチもあるし、良質なエンジンサウンドも心地よく室内に入ってくるから、走らせることそのものが楽しく感じる。
アルファードと較べて車体そのものに強化を加え、サスペンションも引き締める方向でチューンナップされてるから、乗り心地は少々硬め。2列目に座ってもらった女性によれば、コツコツとした感触が伝わってはくるらしい。けれど、そのコツコツには尖った感じがないから、そのへんのクルマよりは快適なのだともいう。
それは運転席に座っている僕もまったく同感。このハンドリング、この曲がり方、この気持ちよさが味わえるのだからOKでしょ、と感じた。
もうおわかりだろう。大切な人を乗せてどこまでも最高に快適な移動をしたいのであれば、アルファード。アルファードを知らなければ最上級に思えそうな乗り心地とドライバーとしての満足感を両立させたいのであれば、ヴェルファイア。どちらも堂々、日本のミニバンの間違いなく最高峰だ。乗り較べてみて、さあ、あなたはどちらを選ぶだろう?
ミニバンの王道をいくアルファードの走り
御存知のとおりアルファードというクルマが先にあり、派生として登場したのがヴェルファイア。2008年5月、アルファードの最初のフルモデルチェンジのタイミングでのことだ。以来、アルファードは格式の高さや洗練、ヴェルファイアは強さや精悍、というような別々の個性が与えられてきた。が、それはあくまでもルックスに関わる部分のみだった。
ところが新型アルファードとヴェルファイアは、これまでのイメージを継承しつつ、走りの個性という部分をそれぞれ明確にしてきている。
アルファードは、とにかく快適なクルマだった。乗り味はしなやかにして柔軟。路面が多少荒れた箇所を通過しても、まるで“今、何かあった?”ぐらいなもので、とてもまろやかで優しく、包容力のある心地よさを感じさせてくれる。この日の僕はあくまでもドライバーだったので代わりに乗り心地に敏感な女性スタッフに2列目シートに収まってもらったのだけど、反応は上々どころではなかった。特にキャプテンシートと周波数感応型ダンパーを備えたモデルでは、これまで聞いたことがないくらいの絶賛だった。まさしく高級ミニバンの王道中の王道だ。
ヴェルファイアには運転を楽しむ悦びがある
ヴェルファイアはどうかといえば、この大きさのミニバンを走らせてるということがちょっとばかり信じられなくなるくらい、ステアリング操作に対するクルマの反応がよく、気持ちよく曲がってくれる。この車格にしてはという前置きは必要だと思うけど、軽快、スポーティ、と表現してもいいくらいだ。
コーナリング時の車体の左右への傾きや加減速によるフロントやリアの上下動も巧みに抑えられてるし、高速巡航時の車体の座りもかなりいいので、強い安心感を覚えながらドライブできる。とりわけヴェルファイア専用の2.4リッターターボを積んだモデルは、加速のパンチもあるし、良質なエンジンサウンドも心地よく室内に入ってくるから、走らせることそのものが楽しく感じる。
アルファードと較べて車体そのものに強化を加え、サスペンションも引き締める方向でチューンナップされてるから、乗り心地は少々硬め。2列目に座ってもらった女性によれば、コツコツとした感触が伝わってはくるらしい。けれど、そのコツコツには尖った感じがないから、そのへんのクルマよりは快適なのだともいう。
もうおわかりだろう。大切な人を乗せてどこまでも最高に快適な移動をしたいのであれば、アルファード。アルファードを知らなければ最上級に思えそうな乗り心地とドライバーとしての満足感を両立させたいのであれば、ヴェルファイア。どちらも堂々、日本のミニバンの間違いなく最高峰だ。乗り較べてみて、さあ、あなたはどちらを選ぶだろう?
主要諸元
アルファード エグゼクティブラウンジ Specifications
[ ]内は4WD
- 全長×全幅×全高
- 4995mm×1850mm×1935mm
- ホイールベース
- 3000mm
- トレッド(前/後)
- 1600mm/1600mm[1605mm]
- 最低地上高
- 150mm
- 車両重量
- 2230kg[2290kg]
- 乗車定員
- 7人乗り
- エンジン型式
- A25A-FXS
- 総排気量
- 2487cc
- 最高出力
- 140kW(190ps)/6000r.p.m.
- 最大トルク
- 236Nm(24.1kgf・m)/4300~4500r.p.m.
- モーター最高出力
- 134kW(182ps)[リアモーター+40kW(54ps)]
- 最大トルク
- 270Nm(27.5kgfm)[リアモーター+121Nm(12.3kgfm)]
- メーカー希望小売価格
- 850万円 [872万円]
詳しい情報・お問い合わせ
トヨタ自動車株式会社 お客様相談センター
全国共通・フリーコール:0800-700-7700
受付時間:9:00~18:00 年中無休
アルファード:https://toyota.jp/alphard/
ヴェルファイア:https://toyota.jp/vellfire/
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