Mid-century modern is backリノベブームで再注目!
“ミッドセンチュリーモダン”とは

Lifestyle

物件を購入する際の選択肢として、リノベーションやリフォームが一般的になっている昨今、室内デザインやインテリアにレトロなスタイルを取り入れて演出をする人が増えています。そんな中、再び脚光を浴びているのが1940~60年代のアメリカで生まれた「ミッドセンチュリーモダン」スタイル。独特の魅力を兼ね備えたインテリアを筆頭とするプロダクトをご紹介します。

革新的なアート運動をルーツに持つスタイル

ミッドセンチュリーモダンは、第二次世界大戦がはじまった1940年代から1960年代にかけてアメリカでムーブメントを起こしたデザインやインテリア様式のことです。華美な装飾を排し、機能性を重視したシンプルなデザインと華やかな色使いが特徴です。

そのルーツはアートの世界にあります。20世紀のはじめ、近代社会が到来するとともに古い価値観を覆す新しい芸術運動が各国、各分野で起こりました。その中で、多視点で物事を捉え、奥行きのある幾何学的な形で再構築したのが、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックによって創始された「キュビズム」です。

その前衛的芸術運動は、絵画や彫刻のみならず、音楽、文学、そして建築の分野にも影響を与えました。特に当時のチェコでは、ピカソとブラックがプラハで展覧会を開いたことでチェコ・キュビズムが始まり、幾何学パターンがダイナミズムと立体感をつくるキュビズム建築を生み出しました。

チェコのキュビズム建築の代表作「ブラック・マドンナ(黒い聖母の家)」。

そうしたさまざまな芸術運動から影響を受けて、情緒や感情を排したシンプルで美しい造形や知的な設計、高い機能性からくる合理性を追求した「バウハウス」の芸術運動が1919年にドイツで起こりました。そのデザインは世界中に広がりはじめましたが、当時のナチスの政策によって弾圧され、多くのデザイナーたちがアメリカに活躍の場を求めました。

第二次世界大戦後、比較的戦争被害の少なかったアメリカが世界の産業の中心となり、国内では帰還兵による住宅と家具のニーズが一気に高まります。内需が拡大する中で、戦時中に軍事産業が生み出したプライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)といった新素材を積極的に取り入れて生まれたのが、ミッドセンチュリーモダンのインテリアです。

ミッドセンチュリーモダンを創ったデザイナー

ミッドセンチュリーモダンを牽引したデザイナーで、もっとも有名なのがチャールズ&レイ・イームズ夫妻です。座面と背もたれが一体となり、美しい曲線と快適な座り心地を実現した「プライウッドチェア」や身体を包み込むシンプルなフォルムが魅力の「プラスチック・シェルチェア」など革新的なデザインのプロダクトは、後世に多大な影響を及ぼしました。

イームズのチェアは、日本でも一大ブームを巻き起こしました。

また、建築家兼グラフィックデザイナーのジョージ・ネルソンは、小さな家庭向け家具販売店だったハーマンミラー社を世界的な家具メーカーへと成長させた立役者。丸いスツール座面を集めた「マシュマロチェア」やココナッツを8分割した時の欠片をモチーフにした「ココナッツチェア」など、遊び心のある個性的なデザインを数多く世に発表しました。

さらに、20世紀の偉大な彫刻家のひとり、イサム・ノグチがデザインした彫刻照明「AKARI」やアルネ・ヤコブセンが生み出したアイコニックな「セブンチェア」など、ミッドセンチュリーモダンの名作インテリアは、今も世界中で愛されています。

ジョージ・ネルソンの代表作「マシュマロチェア」。

続いて、現在でも愛されつづけているミッドセンチュリーのおすすめプロダクトをご紹介します。

おすすめのミッドセンチュリーモダンのプロダクト5選

イームズプライウッドラウンジチェア

画像提供:Images courtesy of Herman Miller

米『タイム誌』が「優雅で、軽やかで、快適。模倣品が数多く存在するが、これを超えるものはない」と20世紀最高のデザインに選出した名作。熟練の職人技で成形された座面と背もたれが時を経ても色褪せない機能美と快適な座り心地を生み出しています。

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ネルソンキューブソファ

画像提供:Images courtesy of Herman Miller

1968年にデザインされたジョージ・ネルソンのクラシックソファ。美しい三つ折りのエッジや独自のウェビング構造、テーラーメイドの見た目を演出するパイピングなど、品格の漂うデザインは時代を超えて愛されています。

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バタフライスツール

画像提供:天童木工

日本のミッドセンチュリーモダンを牽引した世界的デザイナー・柳宗理の代表作であり、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やルーブル美術館など世界各地の美術館にコレクションされています。同じ形の2枚の成形合板を真鍮金具でジョイントしたシンプルで個性的なフォルムは、多彩なスタイルのインテリアに合わせられるのが魅力です。

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天童木工

イサム・ノグチ コーヒーテーブル ウォルナット

画像提供:MoMA Design Store

イサム・ノグチのコーヒーテーブルは、1939年にニューヨーク近代美術館の館長から依頼作品としてデザインされ、現在MoMAコレクションに収蔵されています。1944年にデザインが変更されてから現在のスタイルになり、今も世界中で愛されています。彫刻のようなフォルムと日常的な機能性が見事に調和した有機的なデザインが魅力。脚部カラーは、ウォルナット、メープル、ブラックから選べます。

●参考リンク
MoMA Design Store オンラインストア

フランク・ロイド・ライト タリアセン2フロアライト

画像提供:YAMAGIWA

20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトの自邸のためにデザインされた名作シリーズ。「タリアセン2」はその中でも傑作と称されているフロアライトで、幾つものチェリー材のブロックで制御された上下方向の光は、さらに遮光板に反射することで直射せず、間接照明の心地よい光を演出します。

●参考リンク
yamagiwa online store

時代を超えて愛されるミッドセンチュリーモダンのインテリアを、あなたの暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?

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