気になるトヨタ車ひと目惚れする
ハイブリッド。
PRIUS
text: Koji Ozawa photos: Keishi Okuzumi

Car

ハイブリッドカーという領域を切り開き、その世界を牽引しつづけてきたプリウス。この偉大な先駆者が昨年暮れにフルモデルチェンジを果たし、5代目へと進化した。その姿は先代までのイメージを覆すもので、まるで鍛え抜かれたアスリートのよう。実際にハンドルを握ってみた印象はどうなのだろう。モータージャーナリストの小沢コージ氏がワインディングとサーキットで試してみた。

カッコよく快適で低燃費
プリウスは1粒で3度うまい!

意のままの走りと軽快な加速を実現したというプリウス。

見るからにペッチャンコな新型プリウス。実物は写真以上だった。まずは公道で2Lハイブリッドから走らせたが、ドライバー席の乗り降りで頭を思いっきりピラーにぶつけそうになる。カローラだったら到底許されないルーフの低さであり、前のめりデザインには違いない。

しかし、すでにカッコいいクサビ型デザインが脳裏に刻まれてるだけに、不満は覚えない。ある意味、スーパーカー世代には懐かしいロータス・ヨーロッパや最近ではエリーゼに乗りこむのと同じようなもの。もちろんアチラはもっと低い全高1mチョイとか1.1m台。より腰を屈めなくてはいけないが、どちらに乗る前にも覚悟はできている。

茶道を嗜んだ人ならわかると思うが、茶室の入り口は狭くて低い。だがそれは「カタナを持った人を入れなくする」という明確な理由があり、美学が存在する。プリウスの低さにも同様の「カッコいいデザイン最優先」という美意識が見て取れる。

一方乗りこんでしまえば、開放感は予想以上。フロントウインドゥの広さもあるが、実は細かな工夫が凝らされていた。前後シート位置を従来より3cmも下げているだけでなく、左右の三角窓を広げて視界を確保しているうえ、ピラー付け根の周辺を黒くして光の反射を抑えていたりする。

リヤシートに関してはより背もたれを寝かせ、広くしている。見ると狭そうだが、乗ると狭く感じない。不思議な違和感だ。

スーパーカー的乗り味と
使い勝手のよさが同居

サーキットで試したPHEVプロトタイプの走り。223PSというシステム出力はスポーツカー並みだが荒々しさはみじんも感じない。

いよいよ2Lハイブリッドを走らせるが、驚くのは乗り心地の快適さだ。かつて90年前後のバブル期には、背を思いきり低くした国産スペシャルティカーが流行ったが、多くはサスペンションの上下ストロークが削られ、這いつくばるような硬めでクイックな走りになっていた。

しかし新型プリウスに関してそれはない。ボディ剛性が高められ、サスペンションがしっかり動くようなものとなり、しなやかさも十分。ゴーカートのようなハンドリングではなく、高級スポーツセダン的な走り味だ。

ちなみに新型プリウスのパワートレーンは3つ。従来の進化形である1.8Lハイブリッドと排気量アップした2Lハイブリッド、さらに2Lのプラグインハイブリッドで、どれもパワーアップが図られている。

2Lハイブリッドのシステム出力は196馬力で、ハイブリッド感はまだ残っている。発進はほぼモーターパワーのみで行われ非常に静か。途中でエンジンが目を覚まし、パワーが増すが、全体のトルク感が豊か。微妙にEVに近づいたと思う。

かたや走り出すと開放感こそ予想以上だったが、乗る人が地面に埋まったような低さ感はかつてない感覚。フロントウインドゥが低くて広く、微妙にスーパーカーっぽい。かつて自分がレクサスLFAやイタリアンスーパーカーに乗ったときを思い出す。この当たりは妙に興奮できる。

それでいてリヤシートは乗り降りこそ不便だがこれまた予想外に広く、ラゲッジ容量も410Lと十分。このいいとこ取り感が新型プリウスの真骨頂だろう。見た目はかつてないほどスーパーカー的で、それでいて広さは従来プリウス同等で燃費も全体では同等。一粒で3度オイシイ新しいハイブリッド像だ。

大人っぽさが増した
プラグインハイブリッド

低い車高も一度乗り込んでしまえば開放感があり、地面に埋まって運転するような独特のドライブフィールを生む。

次はサーキットでPHEVプロトタイプに乗る。こちらはさらにパワーアップしたシステム出力223PS仕様。時速0-100km加速は6.7秒とスポーツカー並みだ。

それだけ聞くと「どんだけスパルタンになってるの?」と思う。しかし乗ると真逆で、2Lハイブリッドをより電動&高級化したプリウスだ。バッテリーの状態にもよるが充電たっぷりでEVモードができると走りはほぼEV。発進から静かで力強く、高速でもそのまま進む。

モーター単独のパワーは比較的穏やかなもの。味付けもアクセルを踏んだ瞬間、首が痛くなるような過激なものじゃない。踏み込んだとたん、気持ちいい加速がコンコンと続く。同時にバッテリー搭載位置による低重心化で、ハンドリングもゆったりとした大人っぽいものに進化。それでいてステアリングを切り込んだときの舵の効き具合は増している。おそらく長距離もラクだし、楽しいはずだ。

ラゲージルームはPHEV化にもかかわらず同等の広さをキープし、長距離でも使える。グレードにもよるがフロントウインドゥが二重ガラス化し、静粛性も増している。

PHEVに関しては、今後増えるEVのことを考えて、あえて急速充電器は廃止となった。余計な充電待ち渋滞を起こさないようにという配慮だろう。代わりに太陽光発電があり、ソーラー充電システムの性能も上がった。年間トータルで走行距離にして約1250km分も外部エネルギーなしで走れるという。自給自足性能が上がったのだ。

1.8Lはスポーティ、2Lは走りの総合力が上がり、PHEVは高級車化している。この3つの味が選べるのが新型プリウス。

同時にハイブリッドカーとして一定の役割を超え、新たに「カッコよさ」「実用性」「エコロジー」の3分野に優れた3度おいしいエコカーに生まれ変わったのだ。スーパーカー化しつつも意外に使えるプリウス、皆さん、いかがでしょう?

「プリウスは3度おいしい」という小沢コージ氏。

【主要諸元】
PRIUS Z 2WD/E-Four

ボディサイズ
全長4,600mm×全幅1,780mm×全高1,430mm
ホイールベース
2,750mm
トレッド(前/後)
1,560mm/1,570mm
最低地上高
150mm(社内測定値)
乗車定員
5名
エンジン
型式:M20A-FXS(ハイブリッド)
総排気量:1.986L
最高出力(ネット):112kW(152ps)/6,000r.p.m
最大トルク(ネット):188Nm(19.2kgf・m)/4,400~5,200r.p.m
燃料消費率
28.6km/L(※E-Fourは26.7km/L)(WLTC国土交通省審査値)
駆動方式
前輪駆動 (※E-Fourは電気式4WD)
メーカー希望小売価格
370万円(※E-Fourは392万円)

詳しい情報・お問い合わせ

トヨタ自動車株式会社 お客様相談センター
全国共通・フリーコール: 0800-700-7700
受付時間:9:00~18:00 年中無休
https://toyota.jp/prius/

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