ドラコンチャンプが飛ばしのコツを伝授！
南出仁寛の『飛距離アップレッスン』
VOL.4 「カックン打法」で飛ばそう
432ヤードの元日本記録を持つ南出仁寛プロ。だが2022年7月に腰を手術し、体重も11キロ減量。また45歳を迎えたこともあり、120％で振るスイングからチェンジした。現在は「ゴルフにつながるドラコン」を目指すJPDA（日本プロドラコン協会）で活動する南出プロに教わる飛ばしの秘技。いよいよ今回、飛距離アップをもたらすスイングの全貌が明らかになります。
テークバックの始動は右足を伸ばす
みなさん、お待たせしました。今回から飛ばしのレッスンを始めていきます。
最初に守っていただきたいのは、クラブを手で上げないこと。手で上げるとシャフトはしなりにくいので、その特性を活かすことができません。それに、手で上げた分、自分で戻さないといけない。インパクトが安定しないので、それをしたくないというのもあります。
何より、腕の筋肉よりも、足や胴体の筋肉のほうが強いので、そこをしっかり使っていきたい。手は使ったとしても、最後のインパクトくらいです。
野球もそうですけど、ダウンの振り下ろしから腕にグーッと力を入れてしまうと、肝心のインパクトでは入りません。力を抜いた状態から、インパクトで腕を使うことでパワーを発揮できるのです。
それでは、クラブを手で上げないテークバックのドリルを紹介しましょう。写真のように、クラブヘッドのすぐ後ろにキャディバッグを置いた状態で、テークバックをしてください。
このとき、手の力を抜くこと。手でクラブを上げると、ヘッドが動こうとしてもキャディバッグに当たって動かないため、シャフトがしなってしまいます。
では、どうやってテークバックするのかというと、右足を伸ばす動作が重要なポイントです。構えた状態からまず下が動き出し、腰が動き、肩が動いて手が動き、最後にヘッドが動く、という順番です。右足が伸びることで腰が回り、腰の回転につられて肩が動いてくるのです。
この順番で始動すると、最後に動く部分がヘッドになるので、右足が伸び、右腰や手が動いてもまだヘッドは動いていないというわけです。
左手2本で持ち、右手を添える
腰や肩の回転は後からついてくるので、テークバックは右足を伸ばす動きだけ。最後にヘッドが遅れて上がり、トップへと向かいます。
先ほど「手の力を抜く」と言いましたが、具体的には、左手は親指と人差し指の2本で持ち、右手は添えるだけ。
普段のラウンドではそこまで極端にはやりませんが、ドラコンでのスイングを正面から見ると、ヘッドが大きく遅れて上がるのがわかるほどです。それくらい手の力を抜いても、実際にクラブが飛んでいくことはありませんよ。
シンプルな「カックン打法」
本当に「右足を伸ばすだけ」。皆さんが持つスイングの常識からすると、あまりにもかけ離れているかもしれません。
構えた状態をキープしたまま、イメージとしてはへそから下でスイングします。上半身を動かす意識はありません。
ところが、それまでの常識に引っ張られて、右足を伸ばすときについ腰をねじったり、肩を回したりしてしまう方がとても多いのです。
捻転を自分で作らないこと。「回す」ではなく、テークバックでは全体重を右足のかかとに乗せる感じです。すると右足が伸び、右ひざが後ろに「カックン」となります。そしてダウンでは、左足かかとに全体重に乗せると左足が伸び、左ひざが後ろに「カックン」となります。
うまくできない方は、かかとをドンと踏む動きから始めるといいでしょう。
リズムは「トーン（テークバック）」、「トーン（ダウン）」の2拍子です。ダウンの「トーン」に合わせて左足かかとに体重を乗せるときに、同じタイミングでクラブをドンと下ろしましょう。
このシンプルな動きが、僕のスイングの全て。ひざの動きから「カックン打法」と呼ぶ方もいるようです。
ダウンの「カックン」をつかむ練習法
最後に、「カックン打法」をマスターする練習方法を紹介しておきます。
使用クラブは7番アイアンで、右足を後ろに引いて構えます。右足かかとは浮かせましょう。初めから右足が伸びた状態を作っておくのです。
その構えから、左ひざを少し曲げながらテークバックします。このとき、ひざが内側に入らないように気をつけましょう。また、体を回す意識はいりません。
ハーフショットの位置までクラブを上げたら、そこからダウンです。左ひざを伸ばし、クラブを真っ直ぐ下ろしていきます。
ダウンで左ひざが伸びることで、意識しなくても体が左に回っていく感覚を、この練習で身につけてください。
南出仁寛（みなみできみひろ）
1978年大阪府生まれ。15歳からゴルフを始め、ゴルフ部主将を務めた大阪桐蔭高校時代は日本ジュニアにも出場。龍谷大学卒業後、オーストラリアにゴルフ留学を経て2006年プロに転向し、ドラコン大会2戦目にて403ヤードの日本記録を樹立する。その後もコンスタントに記録は更新し、自己最長は432ヤード（元レコードホルダー）。21年からJPDA（日本プロドラコン協会）に活動の場を移し、「男子・オープン 無差別級」「男子・シニア 無差別級」「男子・シニア -78kg級」の3冠に輝いている。177cm・71kg。45歳。
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