Land Cruiser Historyトヨタが世界に誇る四輪駆動のロングセラー Text:Daisuke Katsumura
トヨタが販売するクロスカントリー四輪駆動車「ランドクルーザー」は、誕生より70年が経過し、同一の商標を使った車種として日本で最も長い歴史を持ちます。そんなランドクルーザーがモデルチェンジを発表。この秋に新型300系が登場することとなりました。そこで新型は何が変わり、何を継承したのか、歴史を振り返りながら、解き明かしていきます。
世界中で愛されるクロスカントリー四輪駆動車
日本はもちろん、世界中のクルマ好きであれば、「ランドクルーザー」というクルマを知らない人はいないでしょう。現在では世界中の約170の国と地域で販売されており、並行輸入車を含めれば、世界中でランドクルーザーが走っていない場所はないと言われるほど、広く愛されている車種なのです。特に中近東など舗装路が少なく、日常的に砂漠を走る必要があるエリアでは絶大な信頼を置かれており、北米と欧州地域、そして日本国内を合わせた年間販売台数よりも中近東地域で販売されている年間販売台数の方が多いそうです。
ランドクルーザーの歴史は、戦後日本の自動車の歴史
1951年にトヨタ・ジープBJ型としてデビュー。当時は後の陸上自衛隊となる警察予備隊への納入を狙って開発された車両で、後に国家地方警察などにパトロールカーとして採用されました。その後「ジープ」の名称は米ウィリスオーバーランド社が所有しているため、1954年に車名を「ランドクルーザー」と改名。ここからランドクルーザーという名称の歴史がスタートします。
ちなみにBJ型のBは搭載されるエンジン型式B型から、Jはジープ型車両であることからの命名だったそうです。その後、前述の通りランドクルーザーという名称になりますが、車両型式としてこのBJ型は残ることとなります。
ランドクルーザー命名の1年後、1955年には早くも最初のモデルチェンジを行います。グリル周りはデザインが洗練されたほか、二分割だったフロントウインドーがワンピースとなります。引き続き国家地方警察に納入されたほか、この2代目モデルから北米市場に輸出も開始されます。この2代目モデルに関しては、トヨタ博物館に左ハンドルの個体が展示されています。
3代目モデルは1960年のモデルチェンジで登場します。40系と呼ばれるこの3代目モデルは、その後なんと24年間も販売される超ロングセラーとなります。そのため世界中でランドクルーザーといえばこの40系をイメージする人は多く、国内では「ヨンマル」、海外では「Forty」の名前で親しまれています。ちなみに2006年に登場するFJクルーザーは、このFJ40型をデザインモチーフにしています。
40系から、ランドクルーザーはヘビーデューティ系とステーションワゴン型の二つの流れに分かれます。このステーションワゴンタイプは、55/56型、60系、80系、100系、そして現行の200系、さらに今回発表された新型の300系に繫がります。特に写真の60系は車内の広さや堅牢な車体が評価され、これまでのオフロードシーンだけでなく、北米市場で人気を博すこととなり、SUVの先駆けとなるのです。単なる四輪駆動ではなく、ランドクルーザーという唯一無二の地位を確立した瞬間でした。
こうしてランドクルーザーは、「行きたいときに行きたいところに行って、必ず帰って来られる」クルマという最高の称号を持って語られるようになりました。アウトドアシーン、サーフィン、レース、そして厳しい環境下での働くクルマとしてなど、世界中のあらゆる場所、あらゆるシーンで活躍し、どんな作業にも対応できる幅広いクルマとして認知されることとなります。このような堅牢さが評価され、2019年8月には、世界中での累計販売台数がなんと1000万台を突破するという驚くべき記録を樹立するのです。
最後にランドクルーザーが堅牢でどんな作業にも使用されているという一例をご紹介しましょう。この車両はUAEのとある漁村で漁業の作業に使われている40系ランドクルーザーです。この写真からは後期モデルのように見えますが、それでも誕生から最低40年は経過しています。ところがなんの問題もなく、網を引いたり、荷物を運んだりと現役で活躍しているのです。写真のように活躍の場が海であることを考えれば、潮風による腐食にも強いなど、ランドクルーザーが驚異的な堅牢性を持っていることがよく判ると思います。
こうして進化を続けてきたランドクルーザーのステーションワゴンは、誕生からちょうど70周年を迎えた今年、300系にモデルチェンジを果たします。新たに採用された新GA-Fプラットフォームや、V8エンジンの採用をやめ、V6ツインターボエンジンを中心としたパワートレーンとなるなど新しく変化する部分が多い反面、これまでのDNAはしっかりと継承。「行きたいときに行きたいところに行って、必ず帰って来られる」クルマというスタンスに代わりはありません。まだ詳細は発表されていませんが、期待を裏切らない内容になるのは間違いないでしょう。
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