Make a wooden deckお家でアウトドア気分!
自邸ウッドデッキの至福
昨春からのパンデミックの影響で、おうち時間を充実させることがクオリティ・オブ・ライフの向上につながるニューノーマルな暮らしが定着化しつつあります。そこで注目を集めているのがウッドデッキのDIY。ステイホーム期間でもアウトドア気分が楽しめ、生活環境を開放的にするだけでなく、自分好みの世界観をつくり込むことでより豊かなライフスタイルが過ごせる。そんなウッドデッキの歴史からDIYプロショップに聞くおすすめのタイプ、ビギナーでもできる作り方、集合住宅でも楽しめるウッドデッキなど、自邸に取り入れるウッドデッキの魅力をお届けします。
日本の暮らしのDNAにウッドデッキがあった!?
ウッドデッキのデッキ(deck)は、一般的に「船の甲板」を意味します。その語源は「覆い」や「カバー」、「床」という意味で使われるオランダ語。つまりウッドデッキは「地面を覆う木の床」を意味します。発祥は明らかではありませんが、土地が広い欧米で古くから親しまれていたといわれ、日本には1980年代後半以降のバブル好景気の時、当時開発が盛んだった別荘地やホテルのコテージに設置されたウッドデッキで知れ渡りました。
その後、耐震性・耐火性が高く、省エネルギーな2×4(ツーバイフォー)住宅など、海外の建築様式が一般家庭に普及し始め、さらにカナダや北米からSPF材などの輸入木材が増えたことにより、一般家庭にも広がり始めました。それ以降、湿気の多い日本の気候に適した木材に改良され、耐久性や強度も高くなりデザインも豊富に。さらにDIYで作る人も増え、今では自邸をより魅力的にするエクステリアのひとつとして多彩に楽しまれています。
ところで日本にはウッドデッキが流入する前から、同様のエクステリアがあったことをご存じでしょうか? それは伝統的な日本家屋に設置された「縁側」です。家屋の内側つくられた外とつながる縁側は、家族がくつろぎ、ご近所さんたちと談話をするなどリラックススペースとして親しまれ、さらに風雨にさらされる外側に設置された「濡れ縁」は、まさにウッドデッキそのもの。私たち日本人の暮らしのDNAには、古来よりウッドデッキを楽しむマインドがあったのです。
プロに聞くウッドデッキの魅力:スタイル編
自由に楽しむウッドデッキでライフスタイルがアップデート
「生活スタイルをアップデートできるのが、ウッドデッキの最大の魅力です」と教えてくれたのは、「住まいをもっと楽しむ」サービスを提供しているRESTA(リスタ)のウッドデッキ担当、中島美紀さん。同社では個人のビギナーから業者などのプロユーザーまで月間200万人がアクセスするDIYのWEBショップを中心に、オリジナル商品の開発や住宅リフォーム・リノベーション事業など多彩に展開しています。
「まず、屋内から靴を履かずに外に出られる空間としてライフスタイルに新しい広がりができます。ウッドデッキができたことによって家族の団らんや仲間を呼んでのホームパーティーの機会が増えて、より暮らしが楽しくなる。特にコロナ禍になってから、今まで何もしていなかったお庭やベランダ、テラスを有効活用する手段として注目を集め、弊社では、ウッドデッキに関する商品の問い合わせは従来より約2倍増えていますね」
さらに、スタイルにとらわれず自由に楽しめるのも魅力だと続けます。「ウッドデッキはあくまでベース。オーナーさんの好みや家の雰囲気に合わせたり、エクステリアや飾り付けによって多種多様なスタイルを楽しめるのが、今の時代のウッドデッキの魅力です」
たとえば海沿いのサーファーズ・ハウスならホワイトを基調にマリンブルーなどの鮮やかなカラーを取り入れた西海岸スタイル。ダークブラウンをベースに、グリーンをあしらい、バンブー(竹)やヘンプ(麻)素材を取り入れたインテリアでまとめたアジアンテイスト。ホワイトやグレーといったモノトーンのナチュラルカラーでシンプルにまとめた北欧風、落ち着いた和モダンスタイルなど、どんな家にも合わせられるのがうれしいところ。
「いまデッキ材は進化していて、人工木でしたら多彩なカラーが出ています。王道のナチュラルなブラウンが定番人気ですが、デザイナーズ住宅などモダンな建築が増えた近年では、明るいホワイトやスタイリッシュなグレーの人気も高まっていますね」
一般的な4人家族の住宅の庭で、ウッドデッキのスペースはテーブル1卓、椅子4脚が置ける幅約3m、奥行き約2mがスタンダード。さらにソファやロッキングチェアーを置いたりBBQスペースを設置するなど、過ごし方によって広く設置する人も少なくないとか。
人工芝やデッキパネルでさらに素敵に楽しむ
さらに、ウッドデッキを設置した庭をさらに魅力的にしてくれるエクステリアが人工芝です。ロールカーペットのように敷くだけで子どもやペットにもやさしい癒やしの空間が演出できます。
「人工芝はさまざまなメーカーさんがつくっていますが、耐久性に関してはほとんど優劣はありません。ポイントは芝の長さと密度。あまり密度が高すぎると不自然に見えます。長さは20〜35mmが主流なので、触った感触など好みで選んでください」と小林さん。さらにウッドデッキ材と同じ材料やカラーで庭を囲むフェンスを設置すると、より美しい統一感が生まれるとか。
また、ウッドデッキは戸建住宅だけが楽しめるものではありません。マンションのベランダや自室のバルコニーなどにおすすめなのがデッキパネル。
「ベランダなどの狭小スペースには、ジョイント式でつなげていくだけのデッキパネルがおすすめです。天然木や人工木などさまざまなラインナップがあり、高さをださない場合は戸建ての庭にも簡単に設置ができるので便利。ただ、マンションのベランダやバルコニーは基本的に共用部分なので、マンション全体の塗り替えなどのメンテナンス時には外す必要があります。また、強風の影響を受けやすい高層階は、台風などで外れる場合があるので、その際は重石を置くなど注意してください」
プロに聞くウッドデッキの魅力:素材・メンテナンス編
自然な風合いの天然木と機能性抜群の人工木
気になるのはウッドデッキの材質による違い。そこで、同社の商品開発を担当する小林弘征さんに天然木と人工木それぞれのメリットとデメリット、おすすめの木材について聞きました。
“本物”の木材「天然木」の魅力とは
趣深い風合いと経年劣化
天然木は、その名の通り自然から採れた木材のこと。「天然木特有の自然な木目の風合いや心が落ち着く香り、美しい色合いなど、その魅力は、ひと言でいうと“本物”ということに尽きるので、自然なものにこだわる方にはおすすめです。機能面では、天然木は空気を含んでいるので極端な例でいえば発泡スチロールのように断熱性があり、熱がこもりにくいのが特徴です」
一方でデメリットとして挙げられるのは経年劣化だとか。「紫外線で木材の赤や黄色の成分が失われたり、木材に含むタンニンなどが酸化し黒ずむ「白銀化」などが起こります。ただ、その色は天然木の証明でもあるので、好まれる方もいらっしゃいます。また、場合によってはささくれができたり、木が痩せるなどの形状変化は避けられません」
天然木は大きく分けて、耐久性や強度に優れたハードウッドとDIY加工しやすいソフトウッドの2種類。その中で小林さんがおすすめするのがウリン材です。
「ウリン材はウッドデッキだけでなく、船の材料や橋梁など幅広く使用されている最もポピュラー且つ高級な木材。アイアンウッド(鉄の木)とも呼ばれ、耐久性と耐水性、耐不朽性は世界最高峰。100年持つと言われています」
「ハードウッドに比べて扱いやすいソフトウッドは、定番の杉やオーストラリアサイプレス(ひのき)などさまざまあり、耐久性や強度は劣りますが、木を腐りにくくする熱処理加工をほどこすことで耐久性をアップさせている『サーモウッド』などもあります。木目を残したまま自分好みの色に塗装をして楽しめるのもソフトウッドならではの特長ですね」
機能性抜群! 進化する「人工木」
DIYビギナーから圧倒的に支持される利便性
天然木に対して、木とプラスチックなどを混合した人工木の魅力は、なにより機能性だとか。「どんな木材でも生じる初期退色はありますが、それ以降は退色も腐敗もせず、ささくれもできず、カットなどの加工もしやすいので利便性がとにかく抜群。DIYビギナーにおすすめです。近年は天然木のようなナチュラルな質感の人工木も開発され、進化しています」
「人工木のデメリットとしては、空気を含まず熱エネルギーがこもりやすいので、真夏の直射日光にさらされていると非常に暑くなり、冬場は冷たく感じること。耐久年数はメーカーや材質によって異なりますが10〜20年が一般的です」
プロにも支持される人工木「RESIN WOOD」
人工木は多種多彩なタイプがありますが、RESTAでもっとも人気なのが「RESIN WOOD」。「最もスタンダードで、人工木のウッドデッキ材として販売されているほとんどがこのタイプ。軽量で耐久性が高く、コストパフォーマンスにも優れているのでプロにも指示されています。天然木は釘かネジで留めるので、どうしても表面に金属がでますが、RESIN WOODは留め金具を使った間接ビス留め工法で固定できるので、表面に金具が露出せず安全なウッドデッキがつくれるのも魅力的です」
天然木、人工木のメンテナンスのポイントについて小林さんが続けます。
「ソフトウッドの天然木の場合は、定期的に塗装することが大事。天然木はまず退色し、色がくすみきってしまうとささくれや割れが出てきて木が痩せていきます。その形状変化の前、色が変化した時に塗装をした後、塗料ごとに決められた塗り替え目安を守ってメンテナンスを続ければ長期的に良好な状態が保てます。人工木は基本的に劣化せず、天然木より汚れがつきにくいので特にメンテナンスで意識することはありません。もちろん塗装することもできます。いずれにせよ、ウッドデッキは完成して終わりではなく、長期的なプランできちんとメンテナンスをして、末長く愛される場所にしてほしいですね」
プロに聞くウッドデッキの魅力:DIY編
素材の違いが分かったところで自分好みのウッドデッキを取り入れるために、人工木RESIN WOODを使ったDIYビギナーでもできる本格的なウッドデッキの作り方を教えていただきました。ウッドデッキ作りで最も難しい「基礎」づくりのカット作業やビス留めを最小限にし、シンプルな施工方法でスピーディに作れるRESTAオリジナルの基礎システム「THILFE(シルフ)」と、床板を支えるために床の下に渡す「根太(ねだ)」のセットを使用します。
最低限必要な工具は、電動ドライバーと木材・金属用のこぎり、メジャー、定規か差し金、印付け用のペン、水平器。さらに電動丸ノコやゴムハンマーがあればより便利です。
01/束を組み立てて設置
まず、床材を支える「束」となる黒いパーツを組み立て、定位置に設置してから水平器でおおよそのレベルを調整します。束のパーツは工具が不要でねじ込むだけ。26〜740mmまで高さが調節できます。「ウッドデッキを設置したい地面がコンクリートならそのまま設置しても大丈夫ですが、土だとウッドデッキが沈んでくるので、ホームセンターなどで販売している束石(つかいし)を敷いてください」(中島さん)
02/根太を設置
束の上に根太受けパーツを取り付けて、アルミの根太をはめ込んでいきます。
03/短い根太を横につなぐ
短い根太を02ではめ込んだ根太の横に取り付け、つなぎます。コネクタ部品を短い根太の端に取り付け、根太のレールにはめこみ、90°回転させて固定。さらに、基礎の四方を覆う幕板(まくいた)用の根太を側面に取り付けて基礎が完成。
04/デッキ材・幕板を取り付けて完成!
水平レベルを微調整し、根太の上にデッキ材を並べます。専用クリップを使って間接ビスで固定しながらデッキ材と幕板を取り付ければウッドデッキの完成です。
束石が既にある状態でTHILFEを使用した場合の所要時間の目安は、簡単なDIY経験がある2名で作業して約8時間程度(幅2700×奥行2184mmサイズの場合)。「応用として、根太と束の高さを組み合わせることで、階段状のデッキもつくることができます」と小林さん。細かい工程やポイントは下記の動画を参考にしてください。
生活スペースがより開放的になり、ライフスタイルに豊かな多様性を生み出すウッドデッキを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【取材協力】
RESTA(リスタ)ウッドデッキだけでなく、壁紙・クロス、クッションフロア、タイルカーペット、窓や扉、生地、ペンキ・塗料などDIYに関する商品をWEBで幅広く販売し、商品選びのコツやDIY実例、メンテナンス方法などのDIYお役立ち情報も各種発信。
https://www.diy-shop.jp
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