Local activities in Toyama地域のとりくみ「富山」：
トヨタモビリティ富山ではじまったアップサイクルとは？ Text:PONCHO
Photo:Yuichiro Higuchi

お客様に満足を提供し（CS）、社員にとって働きがいのある（ES）、地域社会・業界・お取引先からも必要とされる（C SR）企業グループを目指し、近江商人が商売の基本とした「三方よし」という精神の実現を経営指針としている、トヨタモビリティ富山。2023年11月から、自動車の廃棄材を活用した『アップサイクルプロジェクト』を開始。その取り組みの詳細を追いました。

全国のトヨタ販売店に先行する、富山の新たな取り組み

トヨタモビリティ富山は、これまでのように自動車を販売するだけでなく、地域の活性化のための取り組みに、積極的な販売店です。

例えば、2021年には交通手段の検索、予約、決済ができ、観光情報を提供するMaaSアプリ「my route（マイルート） 」を導入。2023年9月には、地域で使える電子マネーである「ティモティPay」をリリース。これらは全国に数多くあるトヨタ系列の販売店の中でもいち早い取り組みで、既存のトヨタのユーザー層だけでなく、富山を訪れる観光客、関連する自治体や交通事業者、そして地域経済からも注目を集めてきました。

そして、2023年11月からスタートした取り組みが「アップサイクルプロジェクト」です。

この取り組みは、県内のトヨタ系列の販売店であるトヨタモビリティ富山、ネッツトヨタ富山、トヨタカローラ富山、そしてトヨタファイナンスが協業し、自動車の廃棄材をそのまま廃棄するのではなく、アップサイクルして新たな日用品にアップデートすることで環境に貢献するものです。

販売店が集めた廃棄材をユーザーが欲しいモノに

さて、自動車に使われている部品は、約95％がリサイクルされています。リサイクルというと、例えばペットボトルを集めて、再びペットボトルへと生まれ変わらせるイメージがあると思います。しかし自動車部品の廃棄材の多くを占める樹脂部分は、「サーマルリサイクル」という集積された可燃ゴミを燃やす際の助燃剤として使われています。つまり、燃やしているのです。

それもリサイクルではあるのですが、これからの時代にマッチしているとはいえません。そこでトヨタファイナンスは、燃料化してしまう前にもう一度「新たな商品」に生まれ変わらせ､二酸化炭素(CO2)排出を削減する取り組みを企画しました。

自動車部品の廃棄材の収集、分解・洗浄を、トヨタ販売店に行なってもらい、その材料をアップサイクル事業者の手で商品化。再び、販売店にてユーザーに購入、利用してもらおうというのが「アップサイクルプロジェクト」です。

廃棄材を再利用した「アップサイクルサングラス」

気になるアップサイクルプロジェクトのアイテムは、廃棄するヘッドランプからポリカーボネートだけを選別し、再利用した「サングラス」。その名も「アップサイクルサングラス」です。価格は1万円（税込）。

再利用されたポリカーボネートは、純度100％でサングラスのフレームに使われています。商品化を手掛けたアップサイクル事業者は、メガネの産地で世界的に知られる福井県鯖江市のウチダプラスチック。海岸に流れ着く廃プラスチックゴミやペットボトル、農業廃棄材をリサクルしたサングラスの製作実績があり、このプロジェクトに参画したそうです。

さて、そのアップサイクルサングラスは、ただ眩しさを抑えるだけでなく、偏光調光レンズを搭載。ギラつきを軽減、太陽光が強い明るい場所ではレンズのカラーが濃くなり、暗い場所では薄くクリアに近いカラーに自動で変わるもの。トヨタが手掛けるアップサイクルアイテムらしく、ドライブやアウトドア、釣りで機能。すでに多くのトヨタのユーザーがトヨタモビリティ富山で、買い求めているそうです。

ユニークなアップサイクルプロジェクトに期待

次はどんなことを先駆けて取り組むのか。そして、アップサイクルプロジェクトでどんな新しいアイテムを展開するのか。トヨタモビリティ富山のこれからに期待です。

トヨタモビリティ富山についてはこちらから。
https://toyota-mobi-toyama.jp/