Featured breakin'パリ2024オリンピックで注目される
新種目「ブレイキン」の魅力

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2024年7月26日から開催されるパリ2024オリンピック。熱戦が期待される全32競技329種目の中で、今大会唯一の新競技として話題となっているのが、ダンススポーツ競技「ブレイキン」。その歴史から基本ルールや技など見どころとなるポイント、注目するべき日本人選手までご紹介します。

ニューヨーク発のアクロバティックなダンス

ダイナミックかつアクロバティックなストリート発祥のダンス、ブレイキン。Bボーイ、Bガールと呼ばれるブレイキンを楽しむブレイカー(プレイヤー)たちによってパフォーマンスされる熱いダンスは、1970年代のヒップホップカルチャー黎明期にニューヨークのサウスブロンクス地区で誕生しました。

この地区でパーティーを開催していたDJが、楽曲がブレイク(つなぎ)にさしかかるとダンスフロアの一部の若者たちがいつもよりダイナミックに踊ることに注目。このブレイクタイムを延ばすDJテクニックでダンサーたちが長く踊れる時間を演出するようになったことで生まれたのがブレイキンで、この時の音楽に合わせて踊るダンスのことを指します。

1970年代を通してニューヨーク全体へ広がり、メディアやイベントを経由して世界へと普及していきました。80年代には当時のロナルド・レーガン大統領の前で披露したパフォーマンスが全米で放送され、『フラッシュダンス』(1983年/アメリカ)や『ビート・ストリート』(1984年/アメリカ)などブレイキンがフィーチャーされた映画も公開されました。時代が進むにつれ世界中で親しまれるようになり、技術のレベルも上がり、各地でさまざまなイベントが開催されました。

押さえておきたいルールや技のポイント

ブレイキンが初めてスポーツ競技として扱われることになったのが、アルゼンチンで開催されたブエノスアイレス2018ユースオリンピックです。その際に大きな盛り上がりと成功が評価され、パリ2024オリンピックの新競技として採用されることとなりました。

ブレイキンがほかのスポーツ競技と大きく異なる点は、BGMとなる音楽を担当するDJと、その場を盛り立てる進行役(MC)が存在するところ。音楽はDJが選曲し、選手たちは事前にどんな曲が流れるかを知ることはできません。プレイヤーは1対1、もしくは2対2で対決し、選手はフロアに流れるBGMに合わせてダンスを披露します。音色やリズムに調和しながら、高度なパフォーマンスやアクロバティックな動きを取り入れ、独創性や創造性、さらに技を競います。

ブレイキンは、主に次の4つの要素から構成されています。

トップロック

立った状態で上半身と足のステップを組み合わせたダンススタイル。

フットワーク

屈んだ状態で素早く足を動かす挑発的な振り付けで、フロアの上で両手を使いながら独自の足さばきを行うこと。

パワームーブ

もっともアクロバティックな動きと技の総称で、難易度の高さをアピールするパフォーマンス。主に上半身を使い、代表的な技として、背中や肩で回転するウィンドミルや頭で回転するヘッドスピンなどがあります。

フリーズ

複雑な姿勢で身体の動きを数秒間停止する技。トップロック、フットワーク、パワームーブなど一連の流れと組み合わせ、逆立ちや頭、肘で身体を支える逆さまポーズが代表的です。

この構成を繰り返しながら決められた時間プレイします。そして、対戦相手が踊っている時は、待っている次の選手が手や腕の動きを組み合わせて挑発する「ハンドサイン」、両腕を重ねて上下運動させる「バイト」など、ステージをさらに盛り立てるパフォーマンスも大きな見どころとなります。

パリ2024オリンピックでは、男女個人の2種目が実施されます。各16名の選手が1対1で直接対決し、同じ曲で交互に踊り、「技術性」「多様性」「完成度」「独創性」「音楽性」の5つの基準に採点が行われます。

世界最高峰のレベル!?注目の日本人選手

ブレイキンが発展している国は、発祥国であるアメリカをはじめ、フランス、ロシア、オランダ、韓国などで、実は日本も世界トップクラスのダンサーたちが揃っています。2024年2月に福岡市で開催されたブレイキン史上初の国別対抗戦ワールドマッチでは、アメリカを制するなど世界有数の強豪国のひとつに名を連ねています。

さて、今回出場予定の日本の有力選手をご紹介しましょう。7歳から踊りはじめ、10代で海外の大会で活躍し、ブエノスアイレス2018ユースオリンピックでは銅メダルを獲得するなど、輝かしい経歴を持つ半井(なからい)重幸選手(ダンサー名Bboy Shigekix)。すでに出場が内定し、メダルの獲得が期待されています。

また、ダイナミックなパワームーブが持ち味のエンターテイナーであり、2024年の日本選手権で悲願の優勝を遂げた菱川一心選手(同ISSIN)や、女子では2021年の世界選手権王者で、オリジナルの「お掃除スタイル」ダンスが魅力の福島あゆみ選手(同B-Girl AYUMI)、世界屈指のオールラウンダーと称される湯浅亜実選手(同B-Girl Ami)などが注目されています。

今大会をきっかけに、今後世界中で発展していくことが予想される新時代のダンススポーツ、ブレイキンから目が離せません。


●参考リンク
https://www.joc.or.jp/paris2024/

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