豊永智大の『シャフトのしなりで飛ばそう!』VOL.5~しなりを使える体づくり(1)~トレーニング編

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2022年の「PLDAロングドライブ世界選手権」世界大会では日本人選手で唯一、ベスト16入りし、準優勝のブライソン・デシャンボーと対戦した豊永智大プロ。今年8月にジョージア州アトランタで開催された「WLD世界ドラコン選手権」では最長402ヤードを記録し、トップ27入りを果たした。世界レベルのドラコンプロに、「シャフトのしなりを使った飛ばしのスウィング」に近づけるトレーニングを教わろう。

撮影協力/LOWMEL BEAR

ドリル① スウィング軸を作る

前回のドリルに続いて、今回は「しなりを使えるスウィング」をより効率的に行うためのトレーニングをご紹介します。

写真では「メディシンボール」というトレーニング器具を使用していますが、水を入れた2リットルのペットボトルでも同じような効果が得られます。

両手でメディシンボール(ペットボトル)を持ち、左右に振ります。徐々に振り幅を大きくしていくのですが、このときに注意したいのは、重さに引っ張られて体が左右に流れないことです。

重いメディシンボールや水を入れたペットボトルを両手で持ち、左右に振る

遠心力に耐え、体重が左右に移動しても両足の内側でしっかりと支え、体が流れないようにすることで体幹が鍛えられ、スイングの軸を作ることができます。

重さに引っ張られて足・ひざ・腰が流れないように注意する

ドリル② 手首の強化とケガ防止

続いては手首のトレーニングを紹介します。

用意するのは2本のアイアン。長さやバランスが近い7番と8番がいいでしょう。2本合わせると、1キロのダンベルくらいの重量になります。

この2本を、重量が片方に偏らないように、ヘッドが互い違いになるように重ね、その真ん中部分を片手で持ちます。
そして、手首を左右に回転させます。

写真のようにアイアン2本を重ね、真ん中を片手で持つ
左右両方向にクラブを回転させる

人によっては「時計回りは楽だけど、反時計回りはちょっと負担がかかるな」というように、自分の弱い部分がわかるので、手首の強化につながります。

深いラフ、ライが悪い状況、バンカーなどで手首を痛めてしまう方は、力が抜けている状態でボールに当たるので、余計に負荷がかかっています。
例えばバンカーで、クラブをリリースしてしまってから砂にドン! と落としてしまうと、骨の配列がズレて手首をケガする危険もあります。

手首には細かい骨が配列されていて、その1つがズレたり折れたりしてしまうと、ゴルフができなくなってしまいます。

なので、このトレーニングは、手首の強化になると同時に、ケガを防ぐウォーミングアップの意味もあります。

反対の手でも同様にクラブを回転させる

ドリル③ ふくらはぎと太もものハムストリング強化

これもウォーミングアップに行っていただきたいトレーニングです。

「ミッドフット着地」という言葉をご存知でしょうか。
ランニングでも歩くときでもそうですが、かかとで着地すると、足の裏側に負担がかかります。
肉離れや腰のケガが起こりやすいのですが、かかとではなく足裏の中央部分(ミッドフット)、土踏まずのあたりから着地するクセをつけると、ふくらはぎの筋肉を正しく鍛えることができます。

まず、両手でクラブを持って立ちます。そして、真上につま先側だけでジャンプ→着地。これを2回繰り返すのですが、2回目は前方に向かってジャンプ→着地します。そして、そのまま静止。
スタート前などに、これを5セットくらい行うことをおすすめします。

クラブを両手で持ち、①真上にジャンプ→着地②前方にジャンプ→着地③静止。これを5セット繰り返す

着地時には自分の体重の5倍くらい負荷がかかるので、自重によってふくらはぎとハムストリング(太ももの裏の筋肉)を強化できます。

また、前重心でもかかと重心でもなく、足の裏の「くるぶしの前」で重心を取りやすくなります。
「くるぶしの前」は、人間が立ちやすかったり、運動しやすかったりする「ゼロポジション」と言われていて、ゴルフスウィングではスムーズなテークバックにつながります。

ドリル④ 肩甲骨の可動域の柔軟性を高める

最後は肩甲骨の可動域の柔軟性を上げるトレーニングです。

ドリル③と同じように、両手でクラブを持って立ち、手を頭上に伸ばします。その体勢から、背中側にクラブを下ろしていき、また元の姿勢に戻します。

イメージは、肩甲骨を上下しているような感じです。
クラブを下げたときに肩甲骨が上がり、上げたときに肩甲骨が下がります。

やってみるとわかりますが、かなりキツいです。デスクワークの方は普段、前屈みの生活を送っているので、なかなかクラブが下りていかないと思います。私も最初は写真の途中で止まっていました。

ただし、ケガ防止のため、くれぐれも無理はしないでください。続けていくうちに、徐々に肩甲骨の可動域が広がっていくでしょう。

このトレーニングは、肩甲骨の可動域を広げるとともに胸筋のストレッチにもなります。
また、スウィング面においても、「テークバックが入りやすくなる」「捻転差を作りやすくなる」といった効果があります。

クラブを両手で持ち上げ、背中側に下ろす→最初の位置に戻す。これを繰り返す。くれぐれも無理しないこと

豊永智大(とよながともひろ)

1987年、長崎県出身。ゴルフ場での10年間の研修生生活を経て、ドラコンプロの道に進む。2019年GD日本大会で402ヤード飛ばして優勝し、同年世界大会に出場。22年10月のPLDAロングドライブ世界選手権では、日本人最上位のベスト16入りを果たす。JPLA所属プロとして大会に出場しながら、パーソナルゴルフレッスンスタジオLOWMEL BEARでパーソナルトレーナーとしても活動する。190センチ・120キロ。ライトカフェ所属

【LOWMEL BEAR(ローメルベア)】

https://bear.lowmel.jp
東京・港区のパーソナルゴルフレッスンスタジオ。豊永智大、田澤大河という2人のパーソナルトレーナー兼ドラコンプロが完全個室マンツーマンレッスンで、トラックマンによるデータ分析を駆使して最適な弾道づくりをサポートする。姉妹店にボディメイク・整体のLOWMELがあり、身体のサポートやケアも相談できる

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