Agricultural experience自然の息吹に触れる
週末はカジュアルに農業体験

Lifestyle

持続可能な社会に向けて、改めて自分たちの「食」を見つめ直そうという人が増えています。普段の食卓に上る野菜は誰がどのようにして作ったのか? どのようにして生まれてきたのか? それらを知る近道は、実際に農業を体験してみることではないでしょうか。週末を使って、気軽に農業を体験できる場所も増えています。ここでは、そんなカジュアルに農業体験ができる施設をご紹介。次の週末に、足を延ばしてみませんか。

都市部から車で日帰り可能
アクセスにも優れたスポットが点在

週末のおでかけプランが限られる現在、「密を避けられるレジャーがしたい」「親子で一緒にできる楽しみが欲しい」「都会を抜け出して自然と触れ合いたい」という方は多いのではないでしょうか。
この春ぜひおすすめしたいのは、手軽に自然に触れられリフレッシュできる農業体験です。近年、関東近郊でも農業体験ができる施設が登場しており、親子やカップルを中心に人気を集めています。都市部から車で日帰りできるなどアクセスもよいので、ドライブを兼ねて足を運んでみてはいかがでしょうか。

お子さまにとっても、食の大切さを考える「食育」のきっかけとなる

ひと言で農業体験といっても、種類はさまざま。もっとも気軽に楽しめるのは、数時間〜半日ぐらいで収穫などを体験できる日帰りタイプ。手ぶらで参加でき、収穫したものをその場で食べられたり、農業のほかにアクティビティも楽しめたりするので、週末のお出かけにぴったりです。もう少し腰を据えて農業に取り組みたいという方は、農家に泊まって農業を経験する農泊体験も。農業だけでなく、地域の自然や文化に触れて地元の人との交流もできるので、より深い経験ができます。

農業体験のメリットはたくさんあります。第一には、種まきから収穫まで、食べ物に関われる喜びが味わえること。「野菜はこんな風に生えているんだ」「収穫にはこんな苦労があるんだ」ということを知ることで、食べ物への考え方も変わるかもしれません。また、収穫したものを味わうことができるならば、採れたての新鮮な野菜を最高の状態で食べられる楽しみもあります。さらに、こどもの食育にも大きな役割が。食べ物のありがたみや、作っている人への感謝の気持ちを自然と抱くことができるはずです。今話題のSDGsを達成するために、自分はどのようなことができるだろう? と考えるきっかけにもなるでしょう。また、親子で一緒に取り組めるアクティビティとしても、農業体験はうってつけです。

アウトドア施設や宿泊設備が併設されている場合は、都会から離れた場所でのびのび過ごすこともできそうです。街ではなかなか見られない素晴らしい星空や、森や土の匂いを感じることも。ちょっとした田舎暮らしも味わえるかもしれません。今回は、そんなカジュアルに農業体験ができる施設を3つピックアップ。それぞれの特徴を詳しくご紹介します。

まるで農家さんの手伝い!?
本格的な農作業体験ができる
「吉田村VILLAGE」

農協の旧建物をリノベーション。ホテル、ショップ、ベーカリーなどが集まる

2021年8月5日にオープンした「吉田村VILLAGE」は、栃木県下野市本吉田地区にある、農泊やアグリツーリズムが体験できる施設です。築80年の農協の大谷石蔵をリノベーションした建物に、農と食をコンセプトとしたホテル、レストラン、ベーカリーカフェ、ショップが集まっています。本吉田地区の地元生産者とこの地を訪れた人が、農業を通して交流し、農産物に感謝をするという「吉田村まつり」を前身としており、地域を満喫し生産者と触れ合えるしかけがたくさんあります。平日は30~50代の女性がメインで、週末は30~40代ファミリー層、20代カップル、シニアなど幅広い人が訪れている施設です。

農業体験は、春はイチゴ狩り、田植え、アスパラガス収穫。夏はかんぴょう収穫、秋は稲刈り、玉ねぎ定植、収穫などが楽しめます。所要時間は1時間程度で、素人でも難しくない作業ながら、生産者がどのような工夫をしているのか、産地でしか知り得ないこだわりをレクチャーしてもらえます。農家さんがインストラクターになり丁寧に指導してくれるので、農業体験初心者も安心。広報担当の上野さんは、「吉田村VILLAGEの農業体験は、農家の方が本気になって教えてくれるので、農家さんの手伝いに近い体験をすることができます」と話します。

イチゴ狩り体験の様子。農家だからこそ知る農産物の知識も教えてもらえる

この村に泊まってみたい! という方は、吉田村Innへ。近隣で収穫された検査済みの米を貯蔵する国の指定倉庫だったという建物をリノベーションしたホテルは、時の流れを色濃く残した外観と、白を基調にしたモダンなデザインで統一されたインテリアが、絶妙に調和します。

夕食はレストラン「L'ape Ronza(ラーペロンツァ)」で地元の食材を使ったイタリアンを楽しんだり、翌朝の朝食は、宇都宮の人気ベーカリーの支店「THE STANDARD BAKERS(ザ・スタンダード・ベイカーズ)」のモーニングメニューを楽しんだりも。

今年4月には、採れたての食材を使ったBBQを楽しめるグランピング施設がオープン予定。満天の星の下、家族とプライベートな時間を楽しめそうです。

広報の上野友里恵さんに、吉田村VILLAGEでのモデルプランを聞いてみました。

★1泊2食付 地元野菜を使った本格イタリアンと旬のいちご摘み体験

●1日目
12:00/吉田村着。アーリーチェックインしてフロントに荷物を預ける
12:30/近所のカフェギャラリー「土筆」で和食ランチ
13:45/吉田村VILLAGEに戻りレンタサイクルを借りていちご摘み体験の農場へ移動(5分)
14:00/イチゴ摘み体験 イチゴの摘み方やパック詰めのやり方を教わり、お店で売られているように奇麗に並べたイチゴを作ってお土産に持って帰る。
15:00/レンタサイクルでどこまでも広い田園風景の近隣を散策。
16:00/吉田村VILLAGEに戻り、入室。しばし休憩
18:00/「L'ape Ronza」で夕食
20:00/部屋に戻り入浴、無料のプロジェクターで映画などを鑑賞。就寝

●2日目
8:00/朝食。「THE STANDARD BAKERS」の焼きたてパンの盛り合わせとドリンクを楽しむ。
10:00/チェックアウト。ショップやベーカリーで地元の新鮮な野菜やお土産を購入。
11:00/近隣の「道の駅しもつけ」に立ち寄り、有名なジェラート店でジェラートやパフェを食べたり、土産物を購入したりして帰宅。

●料金/1泊2食付きプランを利用する場合は2名利用時 14,091~16,546円/人(時期により異なる)

ホテル客室の様子。外観とは裏腹に、驚く程モダンな雰囲気だ

吉田村VILLAGEにも見どころはたくさんありますが、施設の外にも立ち寄れるスポットがあるのがうれしいところ。
5月末から6月上旬には「吉田村まつり 春」が開催予定。近隣の若手農家さんたちによるマルシェや栃木、茨城の有名店による飲食店、雑貨ショップなどが並びます。農産物の美味しさ、人の温かさを感じられるイベントとなりそうです。

農作業の後は温泉も!
大自然の息吹に触れる「THE FARM」

ジップラインはこどもから大人まで楽しめる。乗り放題なのもうれしい

千葉県香取市にある体験型農園リゾート『THE FARM』も、農業体験ができる施設の一つです。10ヘクタールの広大な敷地に、グランピングとコテージ全49棟を備えており、農園、カフェ、BBQスペース、天然温泉、ジップラインなどがあります。アウトドアアクティビティなどを楽しみながら地元の新鮮な野菜が楽しめると人気で、年間25万人の人が訪れています。

THE FARMの農園には、年会費を払う貸農園と野菜収穫体験農園のふたつがあります。貸農園にはインストラクターが常駐しており、農園を毎日管理してくれるというシステム。自身で畑を耕したり栽培をしたりしなくても、季節ごとの野菜などを収穫することができます。貸農園の年会費は105,600円で、宿泊料金の優待も含まれています(入浴料は無料)。野菜収穫体験農園は、1年を通じて60品目、100種類以上の野菜を露地栽培しています。たとえば3月~5月では、ほうれん草や小松菜、ラディッシュ、スナップエンドウや菜の花を収穫することができます。季節に応じて一年中野菜を収穫できるのが魅力です。野菜収穫は午前と午後各1回で、年間35,000人が体験に訪れる程人気があります。

農場管理に関する安全の確保や環境保全など100以上の審査項目を設け、農業の持続性やSDGsとの適合性を目的とした認証制度のJGAP認証を、どちらの農園も取得している。収穫した野菜を安心して味わえる

THE FARM広報担当の毛利公紀さんは、「貸農園や野菜収穫体験農園でJGAP認証を得ているところはほとんどないはずです。収穫した野菜は安心してお召し上がりいただければと思います」と話します。また、園内の農産物から出た不要な葉っぱなどはヤギやポニーの飼料になっています。フードロスを可能な限り減らすという意味で、こどもの食育にも役立っています。

農業体験で収穫した野菜は、BBQで楽しむこともできます。採れたての野菜の美味しさは格別! またカフェでも、園内で採れた野菜を料理にふんだんに使っています。さまざまなアクティビティで汗を流した後は、お風呂に入ってすっきりしたいもの。天然温泉「かりんの湯」も、THE FARMの人気施設。現在は増築工事中で4月上旬にリニューアルオープンとなる予定ですが、以前よりも2.5倍の広さとなり、これまでの露天風呂の他に、館内着を着て男女が一緒に入浴できるサウナが新たに設けられます。

そのまま宿泊する場合は、グランピングとコテージから選べます。また、テントを持ち込んでキャンプをすることも可能です。グランピング施設は近くに小川が流れていたり、ミニアスレチックやウッドデッキが付いていたりと、こどもが喜ぶしかけがたくさん! 大満足の週末となりそうです。

グランピングの様子。普段では味わえない野外に泊まる醍醐味に、こどもたちも大喜び!

広報の毛利さんに、THE FARMでのモデルプランを聞いてみました。

★キャンプファイアーで盛り上がる2日間

●1日目
11:00/THE FARM着。「THE FARM CAFE」でランチ。
13:00/ジップラインで1時間乗り放題を楽しむ。
14:00/チェックイン。グランピングでひと息つく。
16:00/収穫体験。旬の野菜を持ち帰る。
18:00/採れたての野菜を使ってBBQ。1ポンドの牛ステーキやA5ランクのかずさ和牛に舌鼓を打つ。
19:00/火をおこしてキャンプファイヤー。こどもと一緒に天体観測も。
21:00/天然温泉に浸かって至福のひとときを過ごす。

●2日目
7:00/新鮮野菜ノのビュッフェ朝食。チェックアウトまでに温泉かサウナに入浴。
11:00/チェックアウト。週末に開催される「ボタニカルキャンドル作り」に参加。
12:30/ランチ。
14:00/カヌーツーリングに参加。インストラクターのレクチャーの下、水面を滑るような感覚を楽しむ。
16:00/収穫体験②。春はイチゴ狩りツアー(園外)が人気。たくさんのお土産を持って帰路に就く。

大自然の懐に抱かれながら、その息吹を感じられるアクティビティが揃っているのがTHE FARM。春休みには園内を巡るウォークラリーもあり、親子で一緒に楽しめるイベントが開催されます。

●料金/BBQ付き、コテージ宿泊の場合39,820円~/2人(時期により異なる)
※大人2名1泊2食、温泉入り放題、野菜収穫体験込み

酪農場や養鶏場も!
「食」について学べる「KURKKU FIELDS」

酪農場では動物たちに実際に触れ合うことができる

木更津にある「KURKKU FIELDS」は、30ヘクタールの敷地の中に、「農業」「食」「アート」の3つが融合した複合施設です。持続可能な社会を実現するために、これからの社会の豊かさを考えるきっかけとしたい、という思いから生まれています。場内には畑はもちろんのこと、酪農場や養鶏場もあり、「食」について広い視野で考えることができます。また、草間彌生をはじめ国内外のアート作品を鑑賞したり、森で散策したり、広い草原でピクニックをしたりと、楽しみ方はさまざま。宿泊は、アメリカ・ポートランド発祥の小さな小屋「タイニーハウス」で、キャンプやグランピングとはひと味違う体験を楽しむことができます。週末は30~45歳ぐらいのファミリー層が中心ですが、平日はシニアの方も多いそうで、幅広い人に受け入れられています。

現在開催中の農業体験は、タイニーハウス宿泊者を対象にしたイベントです。チェックイン時に希望すれば参加することができ、費用はプランの中に含まれています。チェックイン後の夕方、あるいは朝から行われるこの体験では、季節の野菜を収穫することができます。冬の間はビニールハウス内でレタスを収穫したり、夏は畑を耕したりと、季節によって作業内容は異なるものの、土に触れる気分を存分に味わえるはず。収穫した野菜はBBQの時にサラダにしたり、お土産として持ち帰ったりすることができます。3月にはニンジン、4月以降はカブ、リーフレタス、スナップエンドウ、ルッコラ、水菜などが収穫できますが、2〜3月は端境期のため体験は休みになる可能性があります。

他にも、収穫体験もできるピザ作り体験や、スタッフの解説を聞きながら場内の循環の仕組みなど学ぶツアーなども開催されています。

トマト畑。春から秋の間は不定期で収穫体験も開催される

場内で採れた野菜はその場で食べることもできます。たとえば週末に行われる「ピザ作り体験」では、ピザにのせる食材はクルックフィールズで採れた新鮮な野菜や卵を使います。また、ハーブを収穫してハーブウォーター作りも行います。さらに、場内で味わえるBBQも食材の一部はここで生産されたものや千葉県産のものが中心で、ソーセージも自家製だとか。
KURKKU FIELDS広報の菅野菜穂子さんは、「一押しは冬と春に収穫されるニンジンです。甘くて美味しいと好評で、スタッフの自慢でもあります。ニンジンは絞って100%ジュースにし、販売もしています」と話します。

広報の菅野さんに、KURKKU FIELDSでのモデルプランを聞いてみました。

★アートで心を癒す2日間

●1日目
11:00/KURKKU FIELDS着。「ダイニング」でランチ。新鮮な野菜、平飼い卵、ミルクを使用したメニューやシフォンケーキ、自家製酵母を使用した焼きたてのパン、千葉県産の豚肉や木更津で捕獲された猪の肉を使用したシャルキュトリーを味わう。
13:00/野生の森、マザーポンド、ビオトープを散策。
14:00/ギャラリーでアート鑑賞。(※現在は新型コロナウイルス感染症予防のため閉館中)
15:00/タイニーハウスにチェックイン。
16:00/収穫体験。季節の野菜を収穫する。
18:00/新鮮な野菜を使ったBBQに舌鼓を打つ。収穫体験で採れた野菜をサラダに。
21:00/ラウンジ(センターハウス)でオーディオを楽しむ。GARRARD401やTANNOYのビンテージ、Accuphaseなど名機の揃ったオーディオに耳を傾ける。ライブラリーの本を読みながらお酒を味わう。

●2日目
8:00/平飼い鶏の卵かけご飯定食、もしくはサンドウィッチで朝食。(朝食内容は予約時に選択可)
10:30/チェックアウト。
11:00/ピザ作り体験に参加。季節のハーブを収穫してピザにトッピング。できあがったピザはテラスで楽しむ。最後に、野菜の切れ端や皮などはコンポストへ。
14:00/シャルキュトリーやシフォンケーキなどを場内のショップで買い物をして帰路に就く。

●料金/1泊2食(BBQ)付きタイニーハウス宿泊プランの場合、17,880円/人(人数により異なる)

かわいらしい外観のタイニーハウスは、秘密基地のような雰囲気が楽しい

春には草木が青々と茂り、場内の生き物も活動的になる季節。散策だけでも心地よい時間が過ごせそうです。KURKKU FIELDSの各ショップからの排水は、水質ろ過システム「バイオジオフィルター」を通り、植物や微生物の力を借りてろ過され、自然へとかえります。その一角には生き物のすみかとなるビオトープ(小川)があり、ゲンゴロウやヤゴなど、さまざまな生物が生息しています。冬はお休みだった「水辺の生き物観察会」も春から再開されるそうです。
今年の夏にはライブラリーや新たな宿泊施設が建てられ、秋にはグランドリニューアルを迎えるそう。パワーアップしたKURKKU FIELDSにも期待です。

いずれも、それぞれに魅力のある施設。週末を使って、自然に触れる時間を過ごしませんか。

【今回の紹介施設】

■吉田村VILLAGE

栃木県下野市本吉田784
TEL:0285-35-1020
営業時間・定休日
ショップ 9:00~18:00 定休日/火曜
ベーカリー 10:00~17:00 定休日/月曜、火曜
レストラン 11:00~21:00(アイドルタイム16:00~18:00) 定休日/火曜
アクセス
圏央道五霞ICから車で約40分
またはJR小金井駅からタクシーで15分
駐車場
28台
https://yoshidamura.com
宿泊予約
https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/183091/183091.html

■THE FARM

千葉県香取市西田部1309-29
TEL:0478-79-0666
営業時間
農園 9:00~17:00 
天然温泉 10:00~22:00(最終入館21:00)
※4月下旬リニューアルオープン予定
カフェ:11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日
カフェおよびかりんの湯 不定休(年末年始は営業)
農園 年末年始
アクセス
東関東自動車道大栄ICから車で33分
または東京駅から高速バスで栗源下車後、シャトルバスで5分
駐車場
250台
https://www.thefarm.jp/
宿泊予約
https://camprsv.com/13847/rsv_list/?rsvbase_stock_list_reset=1#keep_box

■KURKKU FIELDS

千葉県木更津市矢那2503
TEL:0438-53-8776
営業時間
10:00~17:00
定休日
祝日以外の火曜、水曜
入場料 無料(グランドオープン以降有料化を予定)
アクセス
館山自動車道木更津北ICから車で15分
またはJR木更津駅からバスで約30分、クルックフィールズ入口下車
駐車場
350台

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