Smart Home Appliances01
そんなことまで!? 優秀すぎる「スマート家電」のある暮らし・CHAPTER:01
ライフスタイルを豊かにするスマート家電とは?
Text:Ryosuke Fujitani

Lifestyle

あらゆるモノがインターネットに接続され、利便性や快適性が進化し続けている今、「スマート家電」が注目を集めています。そこで今回、暮らしを豊かにするスマート家電の基礎知識からプロがリコメンドする最新スマート家電、そしてコネクテッドカーやスマートシティに広がる未来までを3回に渡って多角的に紹介。CHAPTER:01では家電ジャーナリストにスマート家電のある暮らしの魅力について聞きました。

スマート家電の基礎知識

スマート家電とは、端的に言えば「スマートフォンと機能連携ができる家電」のこと。スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールすることで、たとえばリモコン代わりに家電を操作したり、外出先からでも家電の運用状況を管理・確認し、操作することができたりします。ユーザーの好みや生活習慣を学習するAIが搭載されたものも開発されており、暮らしをもっと快適かつスマートにする次世代の家電として世界中で注目を集めています。

同様の言葉で「IoT家電」がありますが、IoT(アイ・オー・ティー)とはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」という意味。これは、住宅・建物や車、家電、家具、センサー機器など、従来インターネットに接続されていなかったさまざまなモノがインターネットに接続され、相互に情報交換する仕組みです。IoT機器はモノ同士が通信することで、これまで埋もれていたデータをサーバー上で自動に処理、変換、分析、連携し、より高い価値やサービスを生み出すことが可能になります。

つまりスマート家電はIoT家電のジャンルのひとつ。同義で使用される場合も多いですが、本記事ではスマートフォンなどのガジェットで操作できる家電をスマート家電と表現します。

家電ジャーナリストに聞くスマート家電の歴史と魅力

ここ数年、家電量販店の売り場でもよく見かけるようになったスマート家電。その成り立ちや魅力を、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアで活躍するTechジャーナリストの安蔵靖志さんに聞きました。

安蔵さんによると、スマート家電の源流は大きく分けてふたつ。まずひとつは、ITを使用し家庭内の照明器具や調理器具、冷暖房設備などの電気やガス使用量を制御する住宅である「スマートハウス」。

「いわゆる省エネ、蓄エネの考えで、たとえば太陽光発電などで家全体のエネルギーを管理し、電力会社から電気を買うことなく生活するといったシステムです。そこからエアコンなどの家電をコントロールし、エネルギー管理システムと家電を繋ぐという発想が生まれました」

アメリカでは1990年代にはテレビ画面から家電をコントロールできる技術が生まれていた

そして、もうひとつは2010年にアメリカのスタートアップ、Nest Labs社が開発した「Nest Learning Thermostat」という新しいサーモスタット技術です。

「これは建物内の空調を小型のデバイスで一括管理するだけでなく、AIが学習して居住者の適温を自動で学習することもできる技術。当時アメリカで大ヒットし、2014年にGoogle社が買収して話題になりました。そして、日本でのスマート家電の先駆けもエアコンです。2012年にパナソニックが、国内メーカーとして初めて遠隔操作ができる無線LANモジュールを搭載可能なエアコンを発売しましたが、それは初期の導入時に別売りのモジュールを一緒に購入しないといけないというハードルがありました」

そういったスマート家電は、2017年に国内で発売されたスマートスピーカー「Amazon Echo」の「Alexa(アレクサ)」や「Google アシスタント」などの音声アシスタントサービスの登場によって広く周知されました。

「それまで各社から発売されていたスマート家電は、機器ごとに異なるアプリで操作する煩雑さがありましたが、アレクサやGoogleアシスタントというプラットフォームで紐付けて一元管理できるようになり、一気に認知度が高まりました。話しかけて音楽が聴けるだけでなく、エアコンや照明などもコントロールできる。住宅を建てる際に設備工事が必要なスマートハウスより低コストかつ気軽に導入できることもあり、現状はスマートフォンなどのガジェット系に端を発したスマート家電が中心になっています」

生活の利便性・快適性・安全性が向上

そういったスマート家電がある暮らしの魅力を安蔵さんはこう続けます。

「スマートフォンがリモコン代わりになるだけではありません。たとえば外出先でロボット掃除機を操作して帰宅するまでに部屋を綺麗にする。また、家に着くタイミングで洗濯や乾燥が終わってる。さらに、外出先でBDレコーダーの録画予約ができるなど、利便性が飛躍的に向上します。そして、外からエアコンや空気清浄機の操作もできるので、快適性も高まります」

スマート家電の中ではエアコンが最も進化している

さらに見逃せないのが安全性の向上と防犯効果です。

「もともとスマート家電の発想は課題解決。真夏の時期にペットや高齢者が自宅にいる場合に、外出先から室内の温度や湿度を確認しオン/オフができたり、人感センサーを使ってライブカメラで見守りもできる。スマートロックで家族が鍵を忘れた時に遠隔操作でドアを開けたり、いつドアが開けられたのかが分かるなど、暮らしに安心感をもたらす機能も魅力的です」

そういったスマート家電は、IT先進国のアメリカを筆頭に年々進化を遂げているとか。

「現状、日本ではまだスタンダードになっているとは言えませんが、エアコンやロボット掃除機など、各機器の性能の向上とともにフラッグシップモデルや上位モデルには標準搭載されています。それらはさまざまなシーンで暮らしを快適にしてくれることは間違いありません」

では、実際に最前線のスマート家電にはどんな便利な機能が搭載されているのか――。CHAPTER:02では、家電量販店のプロフェッショナルが厳選した「いま買うべき」スマート家電を紹介します。

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【取材協力】
Techジャーナリスト・家電エバンジェリスト
安蔵靖志さん
一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。All About デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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