Local activities in Kagoshima 02地域のとりくみ「鹿児島」02:
やって納得! エコにもなる! 最新システム ポルエコウォッシュ
Text:PONCHO
Photo:Naoki Ohshi、トヨタカローラ鹿児島

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前回に続き、鹿児島の地域のとりくみで紹介するのは、「洗車で地域貢献」をコンセプトにはじまった新しいカタチのショップ『POLDER Terrace(ポルダーテラス)』。その最新洗車システム「ポルエコウォッシュ」というサステナブルな取り組みが生まれたキッカケは、鹿児島ならではの理由がありました。地球に優しく、地域住民にも優しい、全国初の“新しい洗車スタイル”をご紹介します。

桜島の降灰によるクルマの汚れ、洗車に困っている人の力になることを目指し、高品質な最新洗車システム「ポルエコウォッシュ」を用意するポルダーテラス。専門スタッフにすべてをまかせて洗車を待つ間は、同じ施設内にある地元で人気のカフェ『ダンケンコーヒー』のゆったり空間でくつろぎのひとときを味わえます。

カフェの並びにはアウトドアなショップ、そしてトヨタ、ダイハツの新車が展示されていて、自然な流れでショールームを見学できる複合商業施設です。

ポルダーテラスの洗車システムでは、昨年から全国初の洗車排水リサイクルシステムが導入されています。排水をリサイクルすることによって水資源を有効活用し、環境負荷を軽減しながら自然と共創する新しいエコ活動を、地域密着・お客さま参加型で進めています。

今回は、その洗車排水リサイクルシステム「ポルエコウォッシュ」を核にポルダーテラスが取り組むSDGs活動について、前回に引き続きトヨタカローラ鹿児島株式会社新規事業部 担当部長・神之田 哲也(かみのだ・てつや)さんにうかがいます。

SDGsを見据えた企業活動

「SDGs達成に向けた取り組みは、企業活動として行っていく必要があります」。

企画時からポルダーテラスの指揮を執ってきた神之田さんは語ります。単発の活動を行うだけでなく、企業活動自体にSDGsの観点を組み込んでいく。そして、一社だけでなくより多くの仲間と共に行うことでこそ、目標達成に向けた効果が出るというのです。

実際、この後ご紹介する最新洗車機の取り組みについて、神之田さんはまだ満足していません。こうした取り組みを他の店舗、他の地域に広げることでようやく貢献になるのだと語ります。

ちなみに……もちろんSDGsの観点は必要ですが、あまりにコストがかかっては「お客様と一緒に」取り組むハードルが上がってしまいます。そこで、ポルエコウォッシュでは品質とSDGsを担保しながらもコストを極力抑えるため、さまざまな工夫を行っています。入口から出口までの混乱のない導線づくりや、ハイクオリティな門型洗車機です。洗車に訪れれば、トヨタ生産方式を用いたアイディアの数々を味わうことができるでしょう。

洗車排水を独自装置でリサイクル

株式会社ダイフクさんの提供する高品質な門型洗車機。ダイフクさん、またリサイクルシステムの株式会社オスモさんには、安全自動車株式会社さんの紹介で出会うことになったという。

オープン当初から挙がっていた課題が、洗車に使用する水の量だといいます。

「導入した洗車機は、クルマ1台を洗車するのに約120ℓの水を使います。ひと昔前の洗車機は200ℓ近くも使用していたので、これでも節水モデルではあるのですが、エコな観点からもっと使用量を抑えられないかと検討を続けていました。

そうして約2年近くの開発期間を経て、昨年から導入したのがオーダーメイドの洗車排水リサイクルシステムを活用した『ポルエコウォッシュ』です」

洗車場を見ると、洗車機の下に排水を集める溝が設けられています。通常、ここに集めた排水は油水分離槽を通して下水に流れます。しかしこの洗車場では、排水を下水に流しません。

「排水を油水分離槽からポンプで汲み上げて、リサイクルシステムに通します。そして、中の特別なフィルターを通して浄水することで、肌に触れても問題がなく、上水と変わらない水質の水に生まれ変わるのです。この水質に持っていくまで、何度もトライ&エラーを繰り返しました。」

この水を再び洗車に利用すると、使用する水量の削減はもちろん、洗車排水を極力出さないことで、下水処理の観点でも環境負荷を軽減することができます。

「このシステムによって、洗車に利用する水量をかなり削減できました。鹿児島の水はミネラル分が多いため、当初の想定よりもフィルターが多くなっています。」

洗車ブース脇に設置されたオーダーメイドの洗車排水リサイクル装置。水処理装置の販売などを手掛ける株式会社オスモさんとの協業によって開発されました。

導入にともない価格の改定を行ったものの、利用者数に影響はなかったそうです。

「日本は水資源に恵まれた国ですが、グローバルで見れば厳しい地域も多くあります。だからこそ限りある水資源を大事に扱うという取り組みにご賛同いただく、エシカル消費につながったのだと思います」

トヨタカローラ鹿児島株式会社新規事業部 担当部長・神之田 哲也さん

トヨタカローラ鹿児島の他店舗での導入、ほかのディーラーからの反応はどうでしょう?

「系列の志布志店では、同型の洗車機を導入しています。洗車排水リサイクルシステムについても、ポルダーテラスで道筋が立ち次第導入していきたいですね。

店舗自体もそうですが、ポルダーテラスはトライアルの空間。新しい取り組みをして、見つかった課題をクリアし、次のステージへとつなげていきたいと考えています。

ほかのディーラーさんによる視察も多くありますが、導入したという話はまだ聞いていません。ですが、SDGsやカーボンニュートラルの取り組みは一企業でやるのではなく、全国に広がってこそ効果を発揮するものです。ぜひ、この取り組みも広げていけたらと考えています」

地域貢献、環境に優しい取り組みは他にも

「トライアルの空間」と神之田さんが語るポルダーテラスでは、建物屋上に太陽光パネルを設置。『ポルエコパワー』と名付け、施設内で使用する電力を可能な限り再生可能エネルギーでまかなってもいます。

「導入したのは、太陽光発電PPAサービスの『TGP でんき』というものです。太陽光パネル設置の費用も必要なく、メンテナンスもしてくれるのでランニングコストもありません。

発電した電気を購入するだけなので、店舗としては大変効率のよいものです。太陽光パネルの設置場所さえあればすぐにできる環境対応の取り組みなので、多くの企業様におすすめします」

ポルダーテラスでは、洗車排水リサイクルと再生可能エネルギーの導入を、地域密着・顧客参加型のSDGsプロジェクト「ポルダーテラス エコアクション」と呼んでいます。持続可能な成長に向けた新たなチャレンジを展開。鹿児島から全国に向けて取り組みを発信し、環境保全の輪を広げていこうというものです。

例えば、地元の野菜を販売するマルシェや、地元出身アーティストによるコンサートなども開催しています。

地域、そして住人に開かれた場所として

「これまでのようにただクルマを販売するだけでは、厳しい時代になってきています。環境問題やSDGsに多くの人の関心が高まっている現在、地域の活性化のためにも、地元の人たちが集い、利用する場として提供することもポルダーテラスの役割です」

「洗車で地域貢献」からはじまった新しいカタチのコンセプトショップは、その目的を3年という時間をかけて着実に実行。採算とエコな取り組みのバランスを最新技術によって組み合わせ、事業としての持続可能性も高めていました。

ポルダーテラスが地域に開かれた場所という認識は、徐々に地域に広がってきています。

これからも「トライアルの空間」であり続けるポルダーテラス。神之田さんたちトヨタカローラ鹿児島が、次にどんなチャレンジをするのかが楽しみです。

ポルダーテラスの洗車スタッフのみなさん。優しい雰囲気で、テキパキと洗車をしてくれる姿が印象的でした。

ポルダーテラス
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休
TEL:099-814-7848(代表)
https://pt-tokai.com/

「ポルダーテラス」の詳細はこちらから。
●地域のとりくみ「鹿児島」01:住人の想いが行き交うエコスポット、POLDER Terrace

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