Weekend Car Life人生を豊かにする
週末カーライフという選択肢

Car

Photo/Shingo Inomata

愛車を見るとその人の趣味嗜好やライフスタイルがわかります。今回、登場してくれたのは日本を代表するレーシングドライバーの脇阪寿一さんと、絶景フォトグラファーの猪俣慎吾さん。その愛車のスタイルやカーライフは異なるものですが、どちらも自身のライフスタイルを彩るためのツールとして欠かせない存在でした。

愛車選びのお手本となる
ふたりの週末ライフとは?

“Life is a Journey”という金言があるように、クルマはただの乗り物ではなく、人生を旅するよき相棒でもあります。クルマひとつで、こんなに素敵で豊かな暮らしを実現してくれる。そんな週末ライフのお手本になるふたりのトヨタ車愛好家を取材しました。それぞれのクルマへの思い入れ、週末の楽しみ方、そしてさらにクルマとの付き合い方を聞きました。

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レーシングドライバー 脇阪寿一さん
2020 GR SUPRA RZ

運転する楽しみを
教えてくれる存在

日本を代表するレーシングドライバーであり、TOYOTA GAZOO RacingアンバサダーやTGR TEAM SARDチーム監督を務めるなど、トヨタとも深い関係にある脇阪さん。現在3台のトヨタ車を愛用し、それぞれをTPOによって乗り分けているそうです。

2020年に販売されたGRスープラの27台限定カラー。ひと目でスポーツカーとわかる流線的なフォルムが美しい

「現在80スープラ、ヴェルファイア、GRスープラの3台を所有しています。まず80スープラは2002年式の最終モデルで、大切にガレージ保管しています。これは僕のヒストリックカーであり、レーシングドライバーとして育ててくれたトヨタへの敬意でもあります。同社が日本のモータースポーツシーンを築いた歴史を語る1台として、次世代へ受け継いでいくべき存在だと思っています。

ヴェルファイアは大事な人を迎えに行く時や、仲間たちとキャンプなどへ行く際に使うクルマ。だからリラックスキャプテンシートを選んでいます。そして今日乗ってきたGRスープラは、週末やちょっとした瞬間など、ひとりの時間を楽しむためのクルマ。イメージ的には夜の湾岸線を流す感じですね。あとはゴルフ場へ向かう時も移動が苦にならないから最高ですよ。荷台にゴルフバッグも積めるんです」

GRスープラだと趣味のゴルフへ行く道中も楽しめると語る。「ひとり分のゴルフバッグならトランクへ積むことができるんです」と語る

脇阪さんが乗るGRスープラは27台限定のマットストームグレーメタリック。SUPER GT/JGTCでスープラが記録した通算27勝を記念したことを示す販売台数になっています。日中はボディカラーがマットな質感に見えますが、夜になると「なんとも色っぽくなる」と、脇坂さんもご満悦の様子。

限定カラーであるマットストームグレーメタリック。時間帯によって雰囲気が変わり、昼間だと少し緑味があるが、夜になると艶っぽい雰囲気に

「GRスープラは、イベントに出演する際に必ず乗っていくクルマです。子どもたちに夢を与えたいというか、このクルマを体感した経験が、未来のモータースポーツシーンにつながってほしいという想いがあります。スープラはトヨタのスピードの象徴だと思うんです。近年はカーボンニュートラルへの動きや電気自動車など、クルマの開発も転換期を迎えていますが、このスープラは将来、どんな変化があってもレーシングカーの象徴として残りつづけるものだと信じています。今までスープラに乗ってきたオーナーたちの熱量や想いを未来につないでいく存在だと思うんです」

長年、日本のモータースポーツを牽引してきた脇阪さんにとってスープラに乗ることは、誇りであり、先人たちが積み上げてきた歴史を語り継ぐためのストーリーテリングでもあると感じました。こんな人々の思いの詰まった市販車は、めったにあるものではありません。

カスタムしたのはホイールのみ。これは脇阪さんがプロデュースするウェッズの11R。GR Garageのみのリミテッドエディションだ
2002年の全日本GT選手権にてエッソウルトラフロー スープラで優勝した脇阪さん。その際のゼッケンが6であり、特別な数字のためナンバーにも使っている
「ミラー越しに見える流線型のボディラインがもっとも気に入っています」と話す脇阪さん。手間暇を惜しまないもの作りの姿勢を感じる
【プロフィール】
脇阪寿一

1972年生まれ。奈良県出身。19歳でカートデビューし、日本最高峰のレースであるフォーミュラ・ニッポンやSUPER GTで輝かしい戦績を残した。

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絶景フォトグラファー 猪俣慎吾さん
2018 HIACE SUPER GL

ハードユースにも応えてくれる
ヘビーデューティな相棒

2021年10月に発売された『絶景CAMP GUIDE』(JTBパブリッシング)のため、日本各地へ出向き、約40カ所のキャンプ場を撮り下ろしたという絶景フォトグラファーの猪俣さん。数々のメディアや広告で、キャンプに関するコーディネートを行うなど、アウトドアのスペシャリストでもあります。そんな猪俣さんのタフな生活とひとときの週末ライフを支える相棒が、独自にカスタマイズしたハイエースです。

背面にハシゴを装着し、ヘビーデューティなキャリアを積んでいる。デイリーユースできるように2.1m以下の高さに抑えている

「購入して約3年半なんですが、走行距離はすでに13万5,000kmを超えました。『なんでそんなに走っているの?』ってよく驚かれます(笑)。フォトグラファーもコーディネーターも機材が必要なので、基本的にはこのクルマで移動します。中でも長く走ったのが、ディレクションしたJTBのムック『絶景CAMP GUIDE』。北は北海道、南は沖縄まで紹介していて、陸路で行けるところはすべてこのハイエースで向かいました」

猪俣さんがすべての写真を撮ったJTBムック『絶景CAMP GUIDE』。車内で過ごす時間も多いので、シートのファブリックを変更している

そんな猪俣さんが相棒として選んだのは、トヨタが世界に誇るハイエース。その耐久性や利便性の高さから、世界中で支持される仕事クルマです。それを自分仕様にカスタムしており、実に個性的な仕上がりになっています。

ルーフキャリアは耐荷重があり、大人が乗っても問題なし。絶景を撮るためにこの上から撮影することがあるという

「キャンプ場は、基本的に人里から離れていたり、悪路を進むケースもあるので、パワーを重視して、ディーゼルエンジンの四輪駆動仕様を選びました。これが大正解で、燃費もいいですし、高速道路を巡航する際も実に快適。ハイエース=遅いというイメージが、見事に覆りました。また冬季でも関係なくキャンプへ行くので、雪道に強いのも自分の中では購入した大きな理由ですね」

冬季はスタッドレスタイヤを装備。夏場はホワイトリボンタイヤを組み合わせてクラシックな足元を演出。ボディカラーは、新車時からライトイエローにオールペイントしている

猪俣さんは、お子さまと一緒にキャンプへ行くことが多いそうです。全国各地のキャンプ場を回った際も同行し、その快適な乗り心地をお子さまも気に入っているそうです。

「去年の4月から小学生になったので、息子と行ける回数は減ってしまいました。キャンプの時は、彼の意見も大事にしていて、例えば『ロケットが見たい』といわれたら、種子島でキャンプできる場所を探すみたいな。僕が今提唱しているのが、キャンプをするためにキャンプ場へ行くのではなく、ホテルや旅館を選ぶ感覚で、その選択肢にキャンプ場を入れることです。今はキャンプ道具も軽装備なので、テントなどを持って飛行機に乗れるくらいコンパクトにしています。そういうキャンパーが増えたら、キャンプがもっと成熟したカルチャーになると思いますよ」

満点の星空の下でキャンプを行っているひとコマ。基本的にはテント泊だが、天気が悪い時は、ハイエースにサイドタープを装着することもあるそう

キャンプはひとつの宿泊手段。そういう視点で見ると、アウトドア遊びの幅も広がり、道具選びの楽しさも増すので、この提案は実に的を射ているように思います。このようなライフスタイルが実現できるのも、荷物がたっぷりと積めて、目的地まで確実に連れて行ってくれるハイエースという相棒がいるからでしょう。

近年のハイエースには、自動ブレーキTSSPが装着されているため、長時間のドライブでも安心。逆走車に事故を起こされた経験があるため、この装備も魅力だった
盗難防止として取り入れているのが、車両を購入したショップ「FLEX」のブレーキロックシステム。ブレーキが踏めないため、エンジンをかけることができない
大きなラゲージスペースは荷物が取り出しやすく、収納がしやすいように古材を使った自作のラックを入れている。仕事の機材もここに収納しているという
猪俣さんとお子さまとのキャンプシーン。撮影する際は、なるべくテントやタープも替えて、そのシーンに似合うものをチョイスしている
【プロフィール】
猪俣慎吾

1981年生まれ。東京都出身。7年間、広告写真家に師事した後に独立。フォトグラファーやコーディネーターとして活躍する傍ら、2017年には星空案内人®を取得し、プラネタリウムテントも開発した。

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