Enjoy the bonfireただ眺めているだけで至福
深遠なる「週末焚き火」の世界
気軽に国内旅行やアミューズメント施設などへのお出かけができなくなった昨今、密にならずに楽しめるレジャーとして、アウトドアレジャーが脚光を浴びています。中でもキャンプの再ブームは顕著で、春先からの週末は予約が取れなくなる程の人気ぶりです。キャンプ場での楽しみ方はさまざまですが、ひとりで火と向き合う「焚き火」の人気も高まってきているようです。では、なぜ焚き火が人気なのか、理由はもちろん、焚き火ならではのキャンプ場での着火の仕方、使用するギア、さらには楽しみ方まで、奥深き焚き火の世界をご紹介します。
キャンプ場での焚き火が
人の心をくすぐる理由とは
焚き火が人の心をワクワクさせるのには、どんな理由があるのでしょうか。それを科学的に説明している理論があります。「1/fゆらぎ理論」といわれるものがそれです。この研究の第一人者である東京工業大学の武者利光名誉教授によれば、ゆらぎとは「物事の予測ができない空間的、時間的変化な動き、不規則な様子」のことをいうのだそうです。
森の木々が不規則に風に揺られる様子や、川のせせらぎの音などがその類いです。自然現象が生み出す、そんな「ゆらぎ」には人を心地よくさせる効果があります。焚き火もまさに、その中に含まれています。しかも、焚き火には、そんなゆらぎを自分の意志でコントロールしたり、道具を駆使して操れたりするプラスアルファの楽しみ方もあります。
最近人気の楽しみ方のひとつに、自分で着火する「火おこし」をする所作も含まれているのをご存じでしょうか。ライターや着火剤を使って火を付けるのが一般的な着火方法ですが、火打石など原始的な方法で着火して灯した火は、「自分で火をおこした」という優越につながり、その火はかけがえのない存在になります。そんな自分で火おこしするために必要な道具や、その着火プロセスをご紹介しましょう。
火おこしに必要な道具と
着火プロセスを学ぶ
写真左上から時計回りに、
1. 焚き火台
キャンプ場での直火での着火は禁止されているところがほとんどです。こうした焚き火台を用意して地面に火や灰が落ちないように注意しましょう。
※記事下段に商品紹介があります
2. 麻ひも
ファイヤースターターから飛んだ火花を最初に点火させる素材です。麻ひもは事前に解いて綿の状態にしておくと、火種が広がりやすくなります。
3. 火吹き棒
風のないところでは、なかなか火が燃えにくいものです。火を焚きつけたり、弱火になった火を復活させたりするために使用する道具で、コンパクトに持ち運べるように伸ばしたり縮めたりが可能です。
4. ファイヤースターター
「ロッド」と呼ばれる金属製の棒と「ストライカー」と呼ばれる火打石の役割を果たす金属製の道具がセットになったアイテムのことで、近年流行している火おこしのスタンダードな道具です。
※記事下段に商品紹介があります
5. 薪(種火用の素材も用意)
焚き火に不可欠な薪は、短時間で燃えやすい針葉樹や長く燃焼し続ける広葉樹の主にふたつがあります。時期や用途によって使い分けましょう。また、火付けの際の種火になる、小枝や落ち葉、松ぼっくり、竹の皮なども用意しましょう。
6. 耐熱グローブ
薪をくべたり、焚き火台を移動したい時など、火元などに手を近付ける際に必要なグローブです。アウトドアショップやホームセンターなどでも購入できます。
【着火プロセス】
※今回はファイヤースターターを使用した場合の着火方法です。
1.まず、焚き火台を用意して、その中に乾燥した小枝や落ち葉、松ぼっくり、竹の皮などで隙間を作りながら組みあげていきます。
2.あらかじめほどいて綿状にした麻ひもを、小枝などの下にくぐらせてセットします。
3.ファイヤースターターのロッドに、ストライカーを勢いよくこすり付けて、火花をおこします。この時、火花が麻ひもに飛ぶようにこすり付けます。
4.麻ひもに着火すると、小枝や落ち葉に一気に火が付くので、火が落ち着いたら薪を投入します。
5.風がない時など、火の勢いが少ない場合は、火吹き棒で火元の下に棒先を差し入れて、風を送ります。
一度着火してしまえば
さまざまな楽しみ方ができる
焚き火の楽しみ方は人それぞれです。ただ、ひたすらにボーッと揺らめく火を眺めているだけでも、至福の時間が味わえるという人もいます。火は熱源としてはもちろん、その他のものを温めたり燃やしたりするエネルギーにもなるので、暖を取る、 肉を焼く、ダッチオーブンを加熱するといった使い方もできます。キャンプ場に到着して一度火をつけたら、さまざまな用途に利用できるということを覚えておきましょう。
●暖を取る
●料理をする
●マシュマロを焼く
初心者でもすぐにはじめられる
火おこし道具のご紹介
では、最後に初心者の方が明日からでもはじめられる、“これだけはそろえておきたい道具”をご紹介します。焚き火を囲む人数ごとに、火おこしに自信がないという人にも心強い道具を用意しました。
●ファイヤースターター
左:希土類元素セリウムのレアアースメタルから作られたファイヤースターター。この1本で3,000回以上の火をおこすことができます。エイアンドエフ メタルマッチ(1,320円/税込み)
https://www.aandfstore.com/store/commodity/0/00800083000000
右:炭素鋼白紙二号を鍛造して作った火打ち金と、2億年前に海の生物が堆積してできたチャートのフリントロック(火打石)のセットです。チャークロス(炭布)や火口(ほくち)を用意して火をおこします。遊牧舎工房 フリントロックセット(3,630円/税込み)
https://www.aandfstore.com/shopdetail/000000000064/
●焚き火台
ソロキャンプ向け
わずか30秒で組み立てられるコンパクトな焚き火台。熱を逃がさず効率的に調理ができ、なおかつ燃焼に必要な空気を適度に取り入れる構造です。UCO フラットパックグリルM(7,150円/税込み)
https://www.e-mot.co.jp/naturalspirit/product.asp?id=318
2~3人向け
特殊耐熱クロスを用いた折り畳み焚き火台。 デイパックに入る収納サイズと焚き火を愉しめる火床形状を実現。アタッチメントにより調理機能を追加できます。帆布製収納袋付き。モノラル ワイヤフレーム(18,480円/税込み)
https://monoral.shop-pro.jp/?pid=25463510
ファミリー向け
1996年のデビュー以来、愛され続ける定番商品。4枚のパネルをつなげた逆四角錐のシンプルな構造と、高い熱量に耐えるタフなスペックが特徴。サイズ違いで4種類あります。スノーピーク 焚火台L(17,600円/税込み)
https://www.snowpeak.co.jp/products/ST-030R/
フィンランドで使われていた「かがり火」が発祥のスウェーデントーチ。切れ込みの真ん中に着火剤を挟み点火。料理に使うもよし、暖を取るもよしの使い切りタイプも昨今人気上昇中です。柳沢林業 俺たちの薪 取手付き スウェーデントーチ Sサイズ 2本セット(参考商品)
http://yanagisawa-ringyo.jp/
https://www.amazon.co.jp/dp/B08636G97F/ref=twister_B086KR22ML?th=1
いかがでしたか? 焚き火は人のからだも心も温める、気軽に楽しめるレジャーです。ただし、扱うのは、危険もはらんでいる火です。キャンプ場での焚き火は、人の少ない場所を選び、テントなどに引火しないように気を付けましょう。その場その場に応じたルールやマナーを守って、楽しい焚き火ライフを送りましょう。
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