Tohoku DRIVE in Autumn Vol.03東北道をいざ北上!
名物宿と絶景、グルメを巡る秋ドライブVol.03
~行楽の秋を満喫する格上の東北道ドライブナビ~

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さわやかな風が心地よく、ドライブが楽しい季節がやってきました。初秋の東北は早くも紅葉が始まり、一瞬で過ぎゆくけれどこのうえなく美しい季節。第3回目は、知られざる紅葉の名所と味覚狩りスポット、そしてドライブ途中に立ち寄りたいエンターテイメント要素満載のPAをご紹介します。いずれも写真映えする場所で、絵になる写真が撮影できるはず。短い旅程でも楽しさが詰まった、思い出いっぱいの旅になることうけあいです。

東北の紅葉はひときわ美しい
「みちのくの小京都」情緒あふれる角館へ

東北の紅葉は、早ければ9月下旬から。10月からは色づきが急加速し、見頃に

暑さが落ち着いた途端、東北にはあっという間に秋が訪れます。早ければ9月下旬頃から紅葉が始まり、11月下旬にかけて息を呑むような色鮮やかな景色を見ることができます。
わずか一瞬とも思えるほどに短いけれど、そのぶん美しい東北の秋。まだ見ぬ絶景を訪ねて、東北自動車道でドライブを楽しみましょう。

東北地方の代表的な紅葉スポットは山や渓谷が多く、標高により見頃が異なるのも特徴です。同じ山でも、頂上付近とふもとでは1か月ぐらいの見頃の差があることも。ベストシーズンの見極めが難しい場所でもあります。

車でアクセスできる主な紅葉スポットと、見頃のタイミングをご紹介します。

青森県
十和田湖 10月上旬
八甲田山 10月上旬
中野もみじ山 10月上旬
薬研温泉渓流遊歩道 10月上旬
北金ヶ沢の大銀杏 11月中旬
秋田県
角館 10月中旬
栗駒山 9月下旬
八幡平/十和田湖 10月上旬
森吉山(阿仁ゴンドラ) 10月上旬
法体の滝 10月上旬
山形県
山寺 10月中旬
蔵王 9月下旬
最上峡 10月中旬
月山 9月下旬
梵字川渓谷 10月中旬
岩手県
八幡平・森の大橋付近 9月下旬
錦秋湖・水のカーテン 10月上旬
栗駒山(須川岳) 9月中旬
仙人峠 10月中旬
馬仙峡 10月上旬
宮城県
鳴子峡 10月中旬
磊々峡 10月中旬
松島紅葉ライトアップ 10月下旬
定義如来西方寺 10月中旬
蔵王エコーライン 9月中旬
福島県
磐梯吾妻スカイライン 9月下旬
国宝「白水阿弥陀堂」紅葉ライトアップ 10月下旬
裏磐梯五色沼自然探勝路 10月上旬
甲子高原の雪割橋 10月中旬
鹿狼山 11月上旬

※出典:国土交通省 東北運輸局 観光部 観光地域振興課「東北紅葉ドライブマップ」を元に作成

10月からは寒気の影響で、各地の紅葉が急加速します。紅葉の予報は、例年では9月上旬~中旬頃に気象予報サイトなどで発表されます。

黒板塀と燃える紅葉のコントラストが芸術的。角館の武家屋敷通りは最高のフォトスポット

紅葉はもちろん、絵になる写真を撮影したい方に特におすすめしたいのが角館です。秋田藩の支藩、佐竹北家の城下町だった角館は、400年以上の歴史を有する風情ある街並みが残されています。藩政時代からの古い建物が並ぶ様子は「みちのくの小京都」と呼ばれるほどの美しさ。春の桜とともに、秋の紅葉が有名です。

半径2kmほどの「武家屋敷通り」には、10軒ほどの武家屋敷をはじめとした古くからの建造物が数多く建ち並んでいます。表通りは国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けており、文化財として保護されています。

角館町は元和元(1620)年、角館地方を領していた芦名義勝によって造られました。その後は佐竹北家に受け継がれ、町割りから400年を迎えます。江戸時代末期の屋敷割や、母屋・門・蔵の屋敷構え、枡形など、武家町の面影がそのままに残っています。カエデ、モミジ、イチョウが鮮やかに色づき、黒板塀に映える様子は格別。例年は夕方から夜にかけてライトアップもされています。

代表的な家屋をいくつかご紹介します。

・青柳家(県指定史跡)
もともと芦名氏譜代の侍でしたが、芦名氏断絶後に佐竹北家の家来となった家柄です。寄棟萱葺き屋根の母屋や薬医門、蔵、塀など重厚な中に雅を感じさせる上級武士の屋敷です。

・石黒家(市指定史跡)
現存する武家住宅の中でも最も古く、江戸時代そのままの姿で主屋、門、塀、土蔵などが保存されています。門を入ると正玄関と脇玄関がありますが、二つの玄関を持つことは身分の高い武士の証でした。武家屋敷では唯一、子孫が現在も母屋に生活しており、ガイドも務めています。

・岩橋家 (県指定史跡)
岩橋家の三蔵は会津の芦名家に仕えた家臣。切妻造り、木羽葺き屋根の岩橋家は、もとは萱葺き屋根で享保年間から現在地にありました。屋敷に植えられた樹齢300年前後と推定される天然記念物のカシワの木は、内陸部では非常に珍しいとされ、武家屋敷通りのシンボルとなっています。

武家屋敷通りは2~3時間あれば十分な散策ができます。周辺にはルネ・ラリックの作品を専門に展示する大村美術館や、樺細工の資料が見られる仙北市立角館樺細工伝承館、新潮社創設者・佐藤義亮を記念して建てられた新潮社記念文学館など、観光スポットもたくさんあります。ゆっくりと滞在してみてはいかがでしょうか。

<角館・武家屋敷通り>
秋田県仙北市角館町 武家屋敷通り
アクセス:秋田自動車道大曲ICから車で45分
駐車場:桧木内川堤防沿いに市営駐車場あり(秋田県仙北市角館町北野124-2)
※時間は8:30~16:30で普通車500円。時間外は基本的に無料開放

山形で旬の果物をお持ち帰り
帰りは羽生PAで江戸時代にタイムトリップ

フルーツの宝庫・山形県南陽市で味覚狩りを満喫し、赤湯温泉で疲れを癒す

秋の東北の魅力は紅葉だけではありません。実りの季節を満喫する、味覚狩りも楽しみのひとつ。ぶどう、梨、りんごなど、さまざまな果物のフルーツ狩りを体験できます。

東京から東北自動車道で約4時間、山形県南部に位置する南陽市は、フルーツの宝庫。北部に山地、南部に豊かな平野があり、農作物の栽培に適した土地が広がっています。盆地特有の昼夜の寒暖差も質のよい果物が育つ条件のひとつで、暖かな昼間にたっぷりの養分を蓄え、気温が下がる夜には栄養(糖分)の消費量が抑えられるため、甘く美味しい果物が育ちます。

市内には果樹園が多くあり、さくらんぼ、ぶどう(デラウェア、高尾、スチューベン、シャインマスカット、ロザリオビアンコなど)、梨(ラ・フランス)、りんご(ふじ、こうとく、シナノスイート、ふじ2001年)などが栽培されています。山形県のぶどうの出荷量は山梨に次いで全国で第2位ですが、南陽市はぶどう栽培の中心地として知られています。

観光果樹園では、フルーツ狩りを開催しています。2023年にフルーツ狩りを実施している観光果樹園をご紹介します。

<観光ぶどう園>

・佐藤観光ぶどう狩り園(山形ぶどう発祥のひとつと言われている観光農園)
南陽市赤湯2795
電話番号:0238-43-5959
品種:デラウェア(8月上旬~9月上旬)・ナイアガラ(8月下旬~9月)・スチューベン(8月下旬~9月)

・紫金園(しきんえん/ワイナリー「須藤ぶどう酒」も営む観光ぶどう園)
南陽市赤湯2836
電話番号:0238-43-2578
品種:デラウェア(8月上旬~9月上旬)・バッファロー(8月中旬~8月下旬)・マスカットベリーA(9月中旬~10月中旬)

・もぎとり園ささき(白竜園ささき/ぶどう狩りだけでなくぶどう販売もあり)
南陽市赤湯2638-3
電話番号:0238-43-3493
品種:デラウェア(8月上旬~9月上旬)・マスカットベリーA種なし(9月上旬~9月下旬)・スチューベン(9月中旬~9月下旬)

※以上3園の実施期間は8月1日~10月中旬
料金:大人700円、小学生以下350円
※3歳までは無料
時間:もぎとり食べ放題60分程度

・​​​漆山果樹園​(カフェが併設されており、ぶどうを使ったパフェなども提供)
南陽市松沢202-1
電話番号:0238-43-3739
料金:もぎとった分の量り売り(品種により異なる。詳細は要問い合わせ)
期間:7月上旬~9月中旬
品種:デラウェア(7月上旬~8月下旬頃)・高級ぶどう(7月下旬~9月下旬頃)

・竹田観光果樹園(皮ごと食べられ、種のないロザリオロッソを栽培)
南陽市赤湯3225-1
電話番号:0238-43-5515
料金:1,000円
期間:9月~10月中旬
品種:ロザリオロッソ

<観光りんご園>

・長澤農園(初夏にはさくらんぼ狩りも実施する観光果樹園)
南陽市漆山140
電話番号:0238-47-7555
料金:一律500円(時間は30分)

ぶどう狩りの受付はすでに始まっており、10月中旬まで実施されています。りんご狩りのシーズンは10月中旬から11月上旬まで。山形は気候の関係上、りんごの完熟期と収穫時期が一致する恵まれた土地柄です。
フルーツ狩りを希望する場合は、果樹園に直接電話をして日程を相談してください。料金は現地支払いです。

ぶどう栽培が盛んな南陽市はワイン醸造の歴史も古く、明治の半ばから酒造りをスタートしています。山形県内にはワイナリーが19社ありますが、そのうち6社が南陽市の会社。それぞれがこだわりのあるワインを手がけています。市内の専門店や直営店舗で手に入れてみてください。工場見学を受け入れている会社もあります。

南陽市の立ち寄りスポットとして外せないのは、赤湯温泉です。開湯930年以上の古い歴史を誇る赤湯温泉は、米沢藩時代は領主が入浴する箱湯として保護されるとともに、藩公認の遊興の場所として栄、上杉鷹山も湯治に訪れました。街の中に温泉旅館が立ち並び、三つの公衆浴場も点在しています。足湯もあるので、気分転換に訪れてみては。

「赤湯温泉街から車で10分ほどの場所に南陽スカイパークがあります。秋の夜明け前から早朝を中心に雲海が発生し、吾妻連峰とともに絶景を楽しめる場所として人気です。パラグライダー体験もできますので、ぜひ挑戦してみてください」(南陽市商工観光課・広報担当者)。

ほかにも紅葉の名所として、鶴の恩返し伝説が残る珍蔵寺や、赤湯温泉街に位置する烏帽子山公園を推薦してもらいました。フォトスポットとしても人気があり、たくさんの人が撮影に訪れるそうです。

山形県南陽市へのアクセス:東北中央自動車道南陽高畠ICから車で9分
観光果樹園案内:http://www.city.nanyo.yamagata.jp/kankokajyu/

江戸時代にタイムトリップ⁉︎ 池波正太郎『鬼平犯科帳』の世界を再現した羽生PA(上り)

ドライブ途中に立ち寄るだけでなく、目的地としている人も多いサービスエリア・パーキングエリア。
東北道にもたくさんのSA・PAがありますが、埼玉県羽生市にある羽生(はにゅう)PA(上り)の『鬼平江戸処(おにへいえどどころ)』は、まるで江戸時代にタイムトリップしたような感覚が味わえると人気です。

東京都東北を結ぶ東北道は、江戸時代に整備された五街道「日光街道」「奥州街道」の現代版とも呼べる道路。江戸時代、羽生PAのそばにある栗橋には栗橋関所があり、江戸の入り口として厳しい取り締まりを行っていました。そこで、羽生PAを東京の入り口と見立て、古きよき時代・江戸を体感できるというコンセプトで生まれたのが鬼平江戸処です。

鬼平江戸処では、その名の通り、池波正太郎氏の小説『鬼平犯科帳』に登場する文化・文政時代の街並みが再現されています。建物から小物類に至るまで、民俗学者の神崎宣武氏が監修を務めており、細部まで妥協がありません。

作中に登場する本所深川、両国、日本橋などの街並みは、まさに270年前の江戸にいるかのよう。高札や半鐘、大店の看板まで忠実に再現されています。かすかに聞こえるのは、風鈴の音や物売りたちのかけ声。臨場感が胸に迫ります。

一通り散策したら、やはり気になるのは食です。作中に登場する料理屋を再現した店や、江戸時代から続く老舗、江戸の味を守り続ける名店が軒を連ねています。

そのひとつが、小説の中で重要な舞台となっている軍鶏鍋屋『五鉄』。日本橋人形町で1760年から続く老舗鶏料理店『玉ひで』がモデルと言われており、この店も玉ひでが監修をしています。

五鉄しゃも鍋定食(1,500円)。川俣軍鶏、両国鳥幸のつくね、野菜や高野豆腐が五鉄特製の割下で煮込まれており、口に入れると鶏肉の旨みが広がる

作品のファンは、長谷川平蔵と密偵のシーンを思い出して胸が熱くなるかもしれません。軍鶏鍋のほか、開発に3年を費やしたという「一本うどん」、島根県産地鶏『山王軍鶏』を使用した「極・五鉄親子丼」なども人気です。

食後は甘いものをいただきましょう。元祖くず餅の『船橋屋』は、1805年創業の老舗。明治初頭のかわら版では、江戸甘いもの屋番付の横綱に認定されたそうです。小麦澱粉を15か月以上も乳酸発酵させて作られるくず餅は素朴な味で、芥川龍之介、永井荷風、吉川英治などの文豪にも愛されました。

「元祖くず餅(小・900円~)」。こだわりの製法でお餅の適度な柔らかさとしなやかな歯ざわりを引き出している

元祖くず餅のほか、串くず餅、あんみつなどもあります。くず餅は賞味期限が2日と限られているものの、おみやげとしても人気。鬼平江戸処では限定のパッケージで販売されています。あんみつも持ち帰りが可能です。

ほかにも、蕎麦、うなぎ、中華そば、江戸めし、人形焼など、江戸のグルメが集います。みやげ処「屋台連」は、両国広小路の賑わいを再現したショッピングゾーン。鬼平にちなんだ商品や老舗のおみやげなどが多く揃います。

「地域商品の「濃厚しっとりチーズケーキ」のほか、三味胴、黒糖饅頭、きんつば、羽二重餅など鬼平江戸処オリジナル商品のお菓子が特に人気があります。また、鬼平江戸処の風景画をあしらった手ぬぐいや湯呑など、江戸らしさを感じる雑貨類を記念に買い求めるお客さまも多いです」(鬼平江戸処マネジメントオフィス広報担当者)。

2023年は、池波正太郎氏の生誕100年、および鬼平江戸処の開業10周年を迎える年。12月19日の10周年記念に向けて、抽選会や大道芸などのイベントも計画されています。出発前にぜひWebサイトでチェックしてみてはいかがでしょうか。

<東北自動車道 羽生PA(上り) 鬼平江戸処>
埼玉県羽生市弥勒字五軒1686
電話番号:048-566-1215(鬼平江戸処マネジメントオフィス)
営業時間:9:00~17:00
https://www.driveplaza.com/special/onihei/


東北道をいざ北上!名物宿と絶景、グルメを巡る秋ドライブVol.01の記事はこちら
東北道をいざ北上!名物宿と絶景、グルメを巡る秋ドライブVol.02の記事はこちら

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