ゴルフ情報の収集に余念がないゴルフ大好きライター鶴原弘高が、
同好の士にお薦めせずにはいられないコトやモノをお伝えします。

2016年8月記
ゴルフコラム 第6回

東京クラシッククラブ

文/写真・鶴原弘高

ニクラウスは、世界各国でコース設計を手掛け、日本でも多くの作品を残している。そのニクラウス設計の日本で最後の新設コースになると言われているのが、東京クラシッククラブだ。

違いが分かるゴルファーにだけお薦めしたい、ジャック・ニクラウス設計の新設コース

本文を読む

以前、このコラムで石岡ゴルフ倶楽部を紹介したときにも書いたが、僕はジャック・ニクラウスが設計するコースのファンである。毎年1月には仕事でフロリダに行くことになっているが、その際には「グランド・サイプレス」というニクラウス設計のコースをラウンドするのが常になっていて、今年は足を伸ばしてウエストパームビーチまで出向き、PGAツアーの開催地となっている「PGA ナショナル」のザ・チャンピオンという18ホールをプレーした。

ニクラウスは、世界各国でコース設計を手掛け、日本でも多くの作品を残している。そのニクラウス設計の日本で最後の新設コースになると言われているのが、今回ご紹介する東京クラシッククラブだ。世界でいちばん新しいニクラウス設計のコースとも言える。

本文を読む

千葉東金道路の中野ICからすぐの、都心から1時間以内という好立地。運営母体となっているのは、全国に7つのゴルフ場を持つ株式会社クラシック。今年度の男子ツアー「日本プロゴルフ選手権大会」の開催地となった北海道クラシックゴルフクラブは同社のゴルフ場で、こちらもコース設計はニクラウスが手掛けている。開場25周年を迎えた北海道クラシックゴルフクラブは、ゴルファーからの評価がとても高く、プレーの予約が取りづらいことでも有名な人気ゴルフ場だ。東京クラシッククラブを造成する前から、すでに同社とニクラウスの間に絶大な信頼関係があったことは想像に難くない。いわば、上質なゴルフ場を作ることができる最強のタッグが、東京クラシッククラブという新しいゴルフ場を作ったのである。ニクラウスのファンならずとも、ゴルフファンなら期待せずにはいられない。

ニクラウスという人物は、コース設計の依頼を受けたら何でもやるという性分ではないと聞いた。現代のゴルフコースは、できるだけ自然の地形をいかし、土をあまり動かさずに造成するのが主流になっていて、ゴルフコースの良し悪しは立地条件に大きく左右される。東京クラシッククラブの造成予定地を見たニクラウスは、「私以上にこの土地と自然をうまくいかしたゴルフ場を作れる者はいない」と断言したという。コース造成には十分な広さを持つ杉の植林地で、適度な勾配があって小川が流れる地形を自分の目で確かめて、これなら理想的なゴルフコースを作ることができるとニクラウスは意気込んだ。コースの造成中に来日し、自らカートを運転して現場を指揮するニクラウスの姿は、東京クラシッククラブの公式ウェブサイトでも公開されている。

本文を読む

現地を僕が訪れたのは7月中旬。朝早くに雨が落ちたが、スタート前には幸い曇り空になっていた。芝の上から好きなだけコースボールが打てる付帯の練習場は、まさに海外の高級プライベートコースそのものだ。いや、今まで訪れたゴルフ場のなかでも最上級クラス。練習場には「トゥルー スペック ゴルフ」というアメリカを拠点にするフィッティング施設も併設されている。

全長7204ヤード、パー72の18ホール。取材当日はキャディ付きの歩きプレーを選択したが、乗用カートでのセルフプレーや手引きカートでのプレーも可能とのこと。ゴルフ場側が決めつけるのではなく、ゴルファー自身がプレースタイルを選択できるのはとてもありがたい。胸の高まりを抑えながらスタートホールに向かった。

ティグラウンドからはハザードが顔をのぞかせ、「ここに打ってくるべし」というポイントが明確に設定されている。IPポイントが280ヤード地点に設定された現代的な設計のコースではあるが、飛距離一辺倒ではケガをしてしまうホールも作られている。2番パー4は、最近のPGAツアーでよく取り入れられるようになったショートパー4。長距離ヒッターであればワンオンも狙えそうな距離だが、当然のごとくグリーン手前にはバンカーが待ち構え、安全なグリーン左手前にボールを置くにも正確無比なショットが求められる。ドライバーに自信がないゴルファーは、1打目を無理しないのが賢明だ。3番パー5は、2打目が谷越えになる右ドッグレッグ。2打目でグリーンを狙うにはたいてい林越えになるので、レイアップが基本となる。4番パー4は、ティショットが谷越えになる左ドッグレッグ。5番はグリーンまで続くバンカー群が目を引く距離の長いパー3。こんなふうに気の抜けないホールが積み重ねられている。ちなみに、東京クラシッククラブではスループレーが原則。ハーフターンして、そのまま10番ホールへ。

本文を読む

後半は、ウォーターハザードがからむホールに出くわす。13番は右ドッグレッグで池越えとなり、右サイドにはずっと池が続く。コース設計のクラシック理論でいう「ケープホール」で、プレーヤーや自身の飛距離によって狙いどころを変えなければいけない。15番はS字のパー5。ティショットが池越えとなり、広い左サイドを狙いすぎて引っ掛けると池につかまる。最終ホールの18番もS字になっていて、左サイドをガードする池を避けて2オンを狙うのは至難の業だ。基本的には杉林によってセパレートされた林間コースだが、ホールによってはリンクス風なところもあって後半には池がからむ。景観的にも楽しく、決してゴルファーを飽きさせない18ホールズだ。

本文を読む

ゴルフコースの話だけでなく、東京クラシッククラブの理念についても記しておかねばならない。東京クラシッククラブは、新しい時代の“真のカントリークラブ”というコンセプトで作られていて、ゴルフコースのみならず、乗馬クラブ、クラインガルテンなどを有する施設となる。日本のゴルフ場におけるゴルフプレーだけのメンバーシップ制ではなく、メンバー同士がソサエティを築き、家族同伴でクラブライフを楽しめるような欧米型の会員制クラブにしていくという。すべての施設の本格オープンは今年の秋を予定していて、現時点ではゴルフコースと関連施設だけが先行オープン中だ。また、東京クラシッククラブがユニークなのは株主会員制度を採用しているところ。メンバーになってゴルフをプレーするには、審査のうえで株主になる必要がある。詳しくは、東京クラシッククラブの公式ウェブサイトを参照していただきたい。

見る人によれば、東京クラシッククラブは、ゴルフ不況といわれる現代にそぐわないメンバーシップ制の高級ゴルフ場だろう。けれど、ここには間違いなく今までの日本にはなかったゴルフ環境が揃っていて、ゴルファーに新たな楽しみを提供するシステムが整えられている。もし知人がメンバーになるかどうかを迷っていたら、僕は迷わず彼の背中を押す。

東京クラシッククラブ(千葉県)

つるはら ひろたか◎ゴルフライター。1974年、大阪府生まれ。フリーランスのライターとして男性誌などで活動後、30歳のときにゴルフの面白さに気づき、ゴルフ専業のライターに。最新クラブの試打評、ゴルフ場のレビュー記事など多岐にわたる分野で執筆を行っている。HDCPは7。