Harmony 2015年7/8月号
バラエティ自動車ジャーナリスト 小沢コージの

MIRAI ここがイイ!

燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」は、水素と空気中の酸素の化学反応で発電する画期的なクリーンエネルギー車だ。トヨタが作り上げた壮大な「夢」と「ヴィジョン」の結晶に小沢コージが試乗した。

乗った感じはズバリ大きめな電気自動車

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過去に前例のない燃料電池車。仕組みを考えれば当たり前だが、基本的には電気自動車(EV)の一種だ。なぜなら燃料電池とは、タンクに貯めた高圧水素ガス(H)と空気中の酸素(O)を化学反応させて文字通り水(H2O)と同時に電気を生み出すシステム。それ以外はEVそのものなのだ。

サイズは全長4,890×全幅1,815×全高1,535㎜とかなりデカい。普通のEVに比べ、床下にFC(燃料電池)スタックと後席側に2本の大きめな水素タンクを備えるからで、このスペースはいわゆる電気自動車の電池パックより大きく、スペース効率で若干劣る。

身長176㎝の小沢が乗ると、後席でヒザ回りはそれほど余裕なく、トランクも狭くはないが特別広くもない。ちなみに後席は2人掛けだ。

特徴的なのはデザインで、燃料電池は大量に空気を取り込む必要があるので、フロントの空気取り入れ口がやたら大きく、水中翼船みたいなカタチになっている。リアは水は出すけれど、高熱の排気ガスは出さないのでマフラーはなく、これまた船っぽい。

肝心の走りは、車体は1,850kgと重めだが、FCスタックの出力は155PSで動力モーターはトヨタ製SUV譲りの154PSなのでスピードは十分。ヒューンという独特のエアコンプレッサー音と共に加速する。

驚くのはハンドリングと乗り心地のよさ。理由を聞けば納得で、フロント床下にFCスタックを収納する高剛性カーボンフレームが付いているのと、前後足回りに頑丈な補強が入れてある。特にフロント回りの剛性感が高く、ハンドリングは驚くほどシャープだし、車重があるので乗り心地も予想以上。

シフトレバーは「プリウスα」と同様に電子式で、パーキングブレーキも「プリウスα」譲り。そのほか使える電子パーツはトヨタのハイブリッド車のものを流用している。トヨタグループの総力を結集して原価低減を図っているから723万6,000円(税込み)という低価格が実現できたのだ。ある意味、「プリウス」が親と言ってもよいかもしれない。

MIRAIの詳しい情報・お問い合わせは、toyota.jp へ。

おざわ こーじ◎バラエティ自動車ジャーナリスト。
1966年神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、某自動車メーカーに就職するも半年後に退職。「NAVI」編集部を経て、フリーに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『ドライブ上達読本』『クルマ界のすごい12人』など多数。